遙かなる神々の国出雲に、大阪にいるうちに訪れようと思っていましたが、 なかなか機会もないまま年末になってしまいました。
ツアー客でいっぱいの出雲の宿に、一人旅の客の部屋はありません。
そこで思いついたのが夜行バス。
大阪を22:50に出発し、出雲に7:40に着くバスがあることを知り、これなら宿がなくても行けるだろうと弾丸ツアーを企画しました。
天気予報通り出雲は雨。
こんな時だけ当たるんだなぁ。
3,000円で一畑バスと電車、松江市バスが三日間乗り放題。
しかも各種施設の入場料も割引になるお得なチケットです。
これを使って早速日御碕へ。
日本海に面した断崖絶壁の県道29号線を走り、出雲市駅からバスに揺られること45分。
まずは日御碕神社へ。
出雲と日御碕は、小学校卒業後の春休みに、当時鉄ちゃんだった私が山陰を鉄道で一人旅した時の思い出の場所の一つ。
40年ぶりの訪問です。
花崗岩の鳥居の向こうには松林を背景に朱の楼門が鮮やかに映え、荘厳な雰囲気を漂わせています。
天照大神(あまてらすおおみかみ)が祀られている日沈宮(ひしずみのみや)。
伊勢神宮が「日の本の昼を守る」のに対し、日御碕神社は「日の本の夜を守る」 との神勅により祀ったのが始まりと言われています。
そのまま神社の裏手に抜けると、そこは冬の荒波が押し寄せる日本海。
天照大神が現在の日御碕神社に祀られる前に鎮座されていたという経島(ふみしま)は、日御碕の西方沖の日本海上にある無人島。
その形が「経典」を積み重ねたように見えるためその名が付いたと伝えられています。
ウミネコの繁殖地としても有名で、国の天然記念物に指定されています。
海岸沿いの道を強風に煽られながら歩くこと10分。
日御碕灯台に着きました。
「こんなに寂れた場所だったかな」
と幼いころの記憶を呼び戻してみますが、定かではありません。
私の記憶では、灯台そばまでバス路線があって、バス停から灯台までの沿道は土産物屋と往き交う観光客で賑わっていたからです。
明治36年(1903)に設置され、高さは43.65m、海面から灯塔の頭上までは63.30mと日本一の高さを誇ります。
重く垂れこめた山陰の雲間から降る冷たい雨。
折からの強風で波しぶきが歩道まで吹き上げ、服を濡らします。
外壁は松江市美保関町から硬質の石材を切り出して使用した美しい石造り。
内壁はレンガ造りで施され、外壁と空間をあけた特殊な二重構造となっています。
平成10年に「世界の歴史的灯台百選」の一つに、平成25年に国の登録有形文化財に選ばれました。
果てしなく広がる黒い海。
波と風の音しか聞こえません。
再びバス停に戻って、一時間に一本のバスで出雲大社に向かいます。
ランチはもちろん出雲そば。
まだ11時ですが、混む前に門前脇のそば処 田中屋へ。
朝から何も食べていないので、名物の三色割子に一段追加。
改築して新しいようですが、老舗。
それぞれの塗椀に異なる具が乗っています。
私の好物の半熟玉子。
こちらはとろろ。
おろし。
追加の一段はシンプルな割子。
美しい彩りに食欲が湧いてきました。
まずは好物の半熟玉子から。
つゆをかけて、絡めていただきます。
とろろも。
やや固めのしっかりした食感のそば。
そばの実を皮ごと石臼で挽くためそばの色は濃く黒く見え、香りが強いのが特徴。
幸い雨も上がりました。
出雲大社にお参りです。
60年ぶりという大遷宮のイベントが5月に行われましたが、その時に比べれば人出はかなり少ないようです。
真ん中は神々の通り道。
参拝客は左右の道を通ります。
拝殿。
厳粛な気持ちになります。
ここは二拝四拍手一礼。
大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)の御神座は本殿内北東にあり、正面である南側ではなく西側を向いています。
だから、西側から拝むのが正面となるわけです。
こちらも忘れずに参拝。
40年ぶりの参拝を終えて清々しい気持ちになりました。
しかし、もう一つどうしても寄りたい所があります。
40年前、私は出雲大社を訪れた後、ここから列車に乗って出雲市駅に出て山陰本線に乗り換え、山口に向かいました。
大正ロマンを感じる見事な建築美。
趣きのある看板。
線路終点の彼方に大鳥居が見えます。
この改札を乗降客が通り抜けることは、もうありません。
霙が降り始めた大社の町へと、参道を再び戻りました。
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そば処 田中屋 (そば(蕎麦) / 出雲大社前駅)
昼総合点★★★☆☆ 3.3
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