2年半前の引っ越しの初日に来て以来のお付き合い。
天満で昼酒といえば、屈指の名店です。
今日も今日とて、凝りもしない酔いどれたちが集っています。
ゴールデンウィークだというのに、しかもこの好天でこの人達は何をしているのでしょうか。
もっとも私もその一人。
なんでも揃う総合居酒屋。
そして驚くべき低価格。
店内にうず高く積み上げられた空き瓶。
こんな無造作なしつらえさえ、好ましく思えます。
河岸を変えたら、やっぱり最初はビール。
お気に入りのスーパードライは、この店なら瓶でいきたいところ。
ツマミはヨコワの刺し身。
頼むと一分も経たずに持ってきます。
なぜなら、予め作ってあってネタケースに入っているから。
それでいいんです。
誰も名店のお造りを求めて来ているわけではないのです。
この値段なんだから。
ポテサラも頼みました。
ローテーションで担当エリアが変わるホール係、今日は私の座った奥のテーブル席が美人だけど仕切りの厳しいお姉さんでした。
多分私より少し若いこのお姉さんは、客を自分の好みで色分けし、全く接客態度が変わるのです。
私は彼女の好みのタイプではないらしく、実にツンケンとした態度。
「ポテサラ一丁~」
という声すら、好きな馴染客に対するそれと、笑顔や声の質も違います。
良く言えばツンデレとも言えますが、やはり単に私は好かれていないのでしょう。
何度も来て観察していますが、実は彼女にツンケンされているお客のほうが圧倒的に多いのです。
そんな事でめげていては、この店には通えません。
なぜなら、ここには私のような凝りない面々しか来ないからです。
芋のロックを。
銘柄指定などありません。
それでいいんです。
それより、この水割り並みにたっぷりと入ったロックこそ、賞賛に値すると言えるでしょう。
はまぐり酒蒸しを頼んで少し酔いを和らげようと思いました。
もちろん件のお姉さんに声をかけます。
「はまぐり酒蒸し一丁~」
と想像通りの投げやりな発注。
お姉さんの仕切りと同じくこの酒蒸しは塩分が効いていてしょっぱい。
でも自堕落に酔った中年男にはこれくらいの塩分が必要です。
汁まで飲み干してもう一軒。
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