私も3年前に大阪転勤の時に、カレー好きの後輩から教わりました。
しかし、転勤直後に閉店となり、その超激辛カレーを食することはできませんでした。
ステンドグラスの店内、電球の灯りの下で、大鍋をかき回すの姿から「魔女」と異名を取った名物女性店主も病と高齢から引退されたそう。
その後、その場所には似た名前の店が出来、ハチの味を受け継いだという触れ込みでいつの間にかチェーン展開するようになりましたが、当時の店をよく知る「ハチラー」(ハチを愛する人たちをそう呼ぶそうです)たちによれば、全く違う味だ、と言うのです。
先週、支社のB級グルメ仲間K次長からとある情報が寄せられました。
その伝説の辛口料理ハチの味に極めて近いカレーを出す店が、私の地元南森町に出来たというのです。
そのネタ元はなんと私のお友達さいちゃんのブログ「美食磁石~関西中心の美味探求~」。
迂闊にもチェックを漏らしていました。
カレーに造詣の深い彼の情報なら間違いないでしょう。
ブログの記事によれば、90%近い再現性だそう。
オリジナルを知らないので比較のしようはありませんが、激辛カレー好きの私としては、その片鱗にでも触れたいと思いました。
営業は水曜日のみ。
ランチタイムに行くには少し遠いので、夜に行く事にしました。
一週間待ちわびて、ついに水曜日がやって来ました。
朝、K次長に
「今日の夜行ってくるよ」
と自慢をしたところ、午後に彼が私の席に一枚の名刺を持って現れました。
「え、何これ!?行ったの?」
「ええ、我慢出来ずに行っちゃいました」
聞けば、確かに相当ハチに近いとのこと。
「辛さのパンチが少し足りないのと、得体の知れない肉の量とドロドロとした旨味に欠けますが、それ以外はほぼ同じでした」
K次長に抜け駆けされ、私は18時半の夜の部開店まで気もそぞろ。
夜の部は売り切れ終了ということなので、18時半の開店を目指すという、かなり前のめりな状態で南森町へ。
まさにあの伝説の店の隣のビルの2階。
入口は商店街側。
とはいえどこにもお店の看板はありません。
一階の焼鳥屋の横、二階の不動産屋へ通じる急な階段を上っていきます。
階段の上り口の横にボードがかかっていました。
これだけが目印。
ここで間違いないようです。
ドアを開けるとL字カウンターとボックス席。
カウンターにはお酒も並び、居酒屋然としています。
先客が一人。
その方も当然ハチラーのようです。
「先週いらっしゃいましたか?」
とカウンターの中のママから聞かれました。
先週の水曜日、売り切れで多くのお客さんに食べて頂けずに帰ってもらったので、気にされている様子。
「いえ、私は初めてです。でも今日職場の同僚が食べにきました」
それで話が通じたようです。
「ああ、あの方と同じ会社の方ですね。宜しくお願いします」
本来は居酒屋。
看板も出さず、知っている人の口コミだけで営業していたようです。
実はここは元々不動産屋の事務所スペース。
そこを改装してこのように営業しているそうです。
丁度先週2周年記念の感謝期間だったとか。
これは居酒屋のメニュー。
南森町あのカレーとは、もちろん辛口料理ハチのカレーの事。
大阪の辛いもの好きのカレーファンに多大な影響を及ぼした伝説の激辛カレーです。
私が好きな西天満の辛口料理森元のママも、ハチが大好きで通い詰めたあげく、とうとう自分で店を出したと以前聞いたことを思い出しました。
カレーは9月からスタートしたそうです。
「全く同じ味という訳にはいきませんが」
と謙遜して書いていますが、既に色んな方面の情報では相当近いとの評判です。
こんなものがカウンターにありました。
昔の店には無かったのかもしれません。
ママから
「辛いカレーですよね?」
と聞かれて注文したカレーが出て来ました。
大盛も可能ですが、それはやめておきました。
ルーが足りなければ追加でかけてもらうことは可能ですが、常人にはその必要はないでしょう。
なぜなら、ご飯の割にカレーが辛いからです。
本物を知らない私ですが、あまりの事前情報の刷り込みに、まるで懐かしい恋人に再会したかのような錯覚に陥りました。
一般的なジャパニーズカレーよりは、やや黒味を帯びた茶褐色。
ピクルスも当時のハチをなぞったものなのでしょう。
後輩から
「余分に払ってもいいから、肉多めってお願いした方がいいですよ。その方がオリジナルに近いイメージになりますから」
と言われていたので、メニューには無いですが肉多めでお願いしました。
一口食べて納得の味。
もちろん比較対象はないのですが、自分の味覚的にアリの味。
辛いだけでなくスパイスの風味とルーの旨味が感じられ、、一方でワイルドで武骨なビジュアルは、まさに日本文化が生み出したジャパニーズカレーのある種の進化系と言えるでしょう。
じわっと追いかけてくる辛さは、食べ進むうちに発汗作用を促し、ポケットからタオルハンカチの出番です。
ゴロゴロっと肉が入っています。
ママは昔よくハチにテイクアウトを買いに行っていたそうです。
ハチの女性店主は普段は無口だったそうですが、ある時
「このお肉ってスジですか?」
と聞いたところ、ものすごい形相で
「バラに決まっとるやろ!!」
と一喝されたとか。
ド派手な色に髪を染めた老女が大鍋をかき回す様は本当に魔女のようだったと笑います。
「お店を閉める5年位前までは、結構空いてたんですよ。でもそれから人気が出て。ご病気もされていたし、かなり高齢だったのでやっぱりしんどかったんでしょうね。今でもご健在とは聞いています」
私はゆっくりと食べ進みながらママと話を続けます。
そこへもう一人お客さんがやって来ました。
テイクアウトまでご注文。
間違いなくハチラーです。
どうやってレシピを再現したのか気になって聞いてみました。
というのも、私の元部下が新橋で居酒屋を開業し、東銀座で伝説のナスカレーと言われた廃業した喫茶店のレシピを、私の元同僚たちと再現して、ランチの人気メニューになっていることを思い出したからです。
入口にも書いてあったように、この南森町あのカレーは実は複数メンバーが関わるプロジェクト。
この居酒屋のお客さんで、ハチラーでもあった方が研究に研究を重ねてスパイスの配合を完成させました。
それをビジネスにすべく、プロジェクトが立ち上がり、スパイスパウダーの調合、製造を行う会社を入れて、量産化。
そのパウダーを使って南森町あのカレーがここで作られているのです。
つまりあいまいはプロジェクトにおける調理、販売のパイロットショップという位置づけ。
いずれは南森町あのカレーは商品化されて、一般に買えるようになるかもしれません。
更に面白い話を聞きました。
メニューに書かれている二種類のカレーの違いについてです。
実はこの南森町あのカレーは配合されたスパイスにチリを1加えたもの。
スパイス制作者はその状態がハチのカレーだと考えているのですが、この店で売り始めた所、辛さが足りないとのハチラーたちの意見が多かったので、チリの分量を2に増やして販売。
それをあいまいカレーと称しているのです。
つまり、多くのハチラーはあいまいカレーの方がオリジナルに近いという認識。
「ちょっとわかりにくいからメニューを変えようと思ってるんです」
とママ。
南森町あのカレーにメニューを統一し、 その中にあいまいブレンド辛さ控えめとあいまいブレンド激辛という二つの辛さがある、という風にしようと考えているようです。
今日は残り5食ほど。
一日50食分を仕込んでいるそうですが、店の規模や回転、集客力を考えれば、それ以上は多いかもしれません。
カレーの営業日をもう一日増やせば、もう少し供給できるかもしれないとママは考えています。
木曜日には、天満駅近くのもつ鍋屋登竜門でもランチタイムにこの南森町あのカレーを出しています。
ハチラーたちは、同じレシピ、スパイスなのに店によって味が違うと言うそうです。
それは当然で、セントラルキッチンで完成品を作らない限り、料理は作り手に左右されるもの。
だからこそ、ハチの女性店主が作っていたカレーには魔法がかかっていたのかもしれません。
誰がどれだけ頑張っても100%同じになる事は、決してないのです。
ママが
「辛くないのもあるんですよ」
とテイスティングさせてくれました。
これはチリを加える前のスパイスだけの状態。
もちろん野菜や肉の旨味エキスは入っているので、コクがあってかなり美味。
「ボンカレーの辛口みたいでしょう?」
とママは笑いますが、なかなかどうしてこれはこれで美味しい。
もちろん「辛くないやつ」をと頼めばこれが食べられます。
あいがけも面白いかもしれません。
この方が、今日私にハチにまつわる思い出話や、このプロジェクトについて丁寧に説明してくれた可愛いママさん。
本業の不動産屋さんのお名刺も頂戴し、フェイスブックでもお友達になりました。
撮影・掲載許可済み |
「食べログに電話番号が出ちゃって、色んな売りこみの電話が多くて困ってるんですよ」
と言います。
「でも出ちゃったし、しょうがないですよね。電話番号が出たおかげで、お客さんからの問い合わせの電話もあるから」
とおっしゃるので、ご迷惑にならないよう個人ブログと食べログへの掲載許可を貰いました。
料理は作り手に左右されるもの。
100%同じでなくても、ハチと似て非なる、更に美味しい激辛カレーが誕生するといいな、とハチラーではない私は思いました。
追記:アメブロ、ツイッターで営業や品切れの情報を発信しているそうです。電話に出られないこともあるので、それを見てもらえるとありがたいとおっしゃっていましたので、掲載しておきます。
アメブロ : http://ameblo.jp/aimai-curry/
ツイッター : https://twitter.com/ya_aimai
夕方から天気は不安定。
外は雨が降っています。
時計を見ると19時半を少し回ったところ。
忙しくて行けなかった美容院に行こうと予約の電話をかけて向かいます。
地元の美容院hoop-loop。
転勤以来ずっと切ってもらっていたスタイリストのOさんが新宮の郷里に戻って美容院を開業。
今日は初めてお願いするスタイリストさんでしたが、とても巧くカットしてくれました。
カットが終わってすっきりしたので、行きつけのバーホワイトラベルへ。
今大評判の「メロンパンの皮焼いちゃいました。」をあちこちで探していたのですが、近所のお店では発見できなくて困っていました。
それを、このバーの飲み友達のKさんが私のフェイスブックで知って、ご自宅近くのドラッグストアでわざわざ私のために買って、この店に言付けてくれたので、引き取りを兼ねて来たのです。
「彼女が今度来たら、お礼に生ビールを一杯ごちそうして」とスタッフのKさんに言付けたのですが、上手い具合に彼女がお店にやって来ました。
お皿に載せれば、なかなか見栄えが良いです。
欲を言えばメロンパンのように切り目を入れて欲しかったところ。
甘いものは普段食べない私ですが、これは良く出来た商品だと感心。
居合わせた常連さんたちと、食品の商品開発に関する談義で盛り上がります。
そういえば、今日食べたカレーも食品開発の話だったな、と思いました。
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