このあたりは、立ち食いうどんや一杯飲み屋が軒を連ねる「ぶらり横丁」や、「アリバイ横丁」と呼ばれた「阪神百貨店ふるさと名産」、串かつ松葉の地下店など戦後の匂いを色濃く残すエリアですが、これらは全て立ち退き対象。
新聞によれば、行政側と色々揉めているようですが、閉店が時間の問題であることは間違いありません。
1939(昭和14)年に現在の場所に開業して以来ホームはそのまま使われていて、今回初めて拡幅工事が行われるそうです。
そんな阪神梅田駅の改札脇にあるスタンドカレー店ミンガス。
入口の券売機で食券を買います。
店長おすすめのチキンカツカレーにしました。
もちろん卵をトッピング。
生卵と温泉卵が選べましたが、生卵で。
入口に立っている案内係の女性から
「一番奥の席へどうぞ」
と声がかかります。
椅子に座って食券を渡します。
今時懐かしい人造大理石のカウンター。
コの字カウンターは満席。
サラリーマン諸氏に混じって、女性もカレーを食べています。
時間の無いクイックランチとして便利なスタンドカレー店ですが、ロケーションも良いので繁盛しているのでしょう。
大阪ではインデアンカレーや上等カレーなどがサラリーマンの支持を得ています。
もちろんCoCo壱番屋も。
とはいえ独立系駅チカスタンドカレーのニーズも高いのです。
自然野菜と数十種類の香辛料で煮込んだ手作りのカレーの口上。
しかし私は、なんとも昭和な壁紙の柄の方が気になりました。
チキンカツ、ロースカツがよく出ているようです。
玉子との組み合わせの勝玉カレーも人気。
タイガースか競艇か競馬かはさておき、「勝利」にゲンを担ぐ人が多いのは阪神電車の乗客の特徴かもしれません。
コの字カウンターの中央には大きなジャーとルーの入った寸動鍋。
注文を受けると中にいる女性がご飯をよそいます。
そのお皿は奥の厨房に回され、揚げ置きのカツがのせられ、再びセンターに戻ってルーがかけられてお客さんの手元へ、という一分の隙もない見事なオペレーション。
時間に追われるスタンドカレーのお客さんを待たせてはいけません。
私の前にもたちどころに注文の品が揃いました。
トッピングの生卵。
自家製のピクルス。
キャベツの酢漬けです。
券売機にピクルスの追加ボタンがありました。
人気なのでしょう。
カレーは大好きですが、もっぱらインド系、東南アジア系を食べる私にとっては、久し振りに食べる昭和チックなジャパニーズカレー。
大阪転勤前、築地のRASAや新橋のカリカルで食べたカレーを思い出します。
さらりとしたルーもスタンドカレーらしいもの。
薄めのチキンカツの衣はやや厚めで固め。
しっかりと揚がっています。
カレーのルーに負けるような上品な衣では、スタンドカレーのカツにはなり得ません。
真ん中にスペースを開けて生卵を投入。
スプーンでウルトラQを作って徐々に攻めていきます。
白身と黄身が分離した状態で、カツとご飯とルーを絡めていただきます。
なんとも懐かしい、この味。
母親が作ってくれたカレーに、更に深みが加わった感じ。
うっかりしていて卓上の福神漬を添えるのを忘れていました。
この赤い福神漬を山ほど食べるのが好き。
私の実家では、この真っ赤な福神漬けを母が買ってくれなかったので、カレー屋さんで赤い福神漬を見つけると、つい大人食いをしてしまいます。
時として非難される食べ方ですが、ジャパニーズカレーに関しては私は肯定派。
醤油も全然ありとおもっています。
そんなソースが当たり前のように置いてあるところが、ソースの本場神戸と大阪をつなぐ阪神電車の駅チカらしい、というのは想像を膨らませ過ぎでしょうか。
お客さんが来るたびに
「ロースでーす♪」
「チキンでーす♪」
と復唱するお店のお姉さんたち。
ミンガス、という名の由来を知りたかったのですが、忙しそうにされていたので話しかけることはできませんでした。
店を出ると、そこは阪神梅田駅。
金券屋が駅の改札口のすぐそばにあるという大阪らしい光景を眺めながら
「無くなって欲しくない昭和の景色だな」
と思いました。
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ミンガス (カレーライス / 梅田駅(阪神)、西梅田駅、東梅田駅)
昼総合点★★★☆☆ 3.3
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