ディープ西成のど真ん中。
地下鉄四つ橋線花園町駅で下車。
時々行く焼肉政ちゃんのある鶴見橋商店街とは反対側、東の萩ノ茶屋方面に歩きます。
南海本線のガードをくぐって更に東へ。
西成あいりん地区のど真ん中、通称三角公園を脇に見ながら歩きます。
公園生活者の数が減った気がするのは、テントが少なくなっているからでしょうか。
今日は東京から転勤のN君、K君に大阪の一面を知ってもらいたいという思いもあって、誘いました。
他には我が部のT部長、営業のM部長。
M部長の部下のS君が遅れてくる予定で、総勢6名。
安アパートや簡易宿泊所、いわゆるドヤが並ぶ一角です。
今宵のお店はそんなディープ西成のど真ん中にあるなべや。
一人鍋の店ですが、大勢で来た方が種類が食べられるのです。
私の転勤前のわがままに同僚たちを巻き込んだ、というのが正直なところ。
暮れのうちに予約を取っておきましたので、テーブルはセットされています。
まさに一人鍋の店ですから、コンロも6台用意されています。
ラストオーダーが早いので、今日は会社を早々に出発して18時半スタートの宴会。
この時期は鍋が恋しい季節ですし、忘年会や新年会も重なります。
電話をかけてもなかなか出てくれないので、予約には根気が必要です。
なんとも年季の入ったコンロです。
私たちが到着して、ちょうど店は満席になりました。
店内は鍋の熱気で暖かく、私は上着もネクタイも取って臨戦態勢です。
まずは生ビールで乾杯です。
鍋の前にちょっと摘まむことにしました。
名物の鮪すきみ。
キムチも頼みました。
これで280円。
他のメンバーは初めてなので、私が先達。
かきみそ鍋、鶏水炊き、牛肉すき焼をチョイス。
やはりこの時期は外せない牡蠣。
特に、ここのみそ鍋は絶品。
他の鍋と比べても、唯一1,000円オーバーのメニューですが、この盛を見れば納得。
こちらは牛肉すき焼。
期待が高まります。
一方こちらは鶏水炊き。
瑞々しい鶏肉が山盛り。
830円。
最初に鶏肉を入れて、しっかりと出汁を取ります。
福岡出身のN君に鍋奉行を任せておけば、間違いないでしょう。
酎ハイに切り替えました。
もちろんプレーンで。
ポン酢は水炊き一人前に一つなので、それは人数分を追加。
大ぶりでジューシーなもも肉は実に旨い。
すき焼にはもちろん生卵。
粗目に溶いて、牛肉と野菜を入れます。
甘さ控え目の割り下が美味しい。
お豆腐も味が滲みています。
あれだけ山盛りだったかきみそ鍋の容積が次第に小さくなってきました。
鍋の底の野菜に火が通り、牡蠣も火が通って縮んでくるからです。
ホール係のお姉さんが見回りにきて、味噌を馴染ませてくれます。
鶏の水炊きを食べた所で、今度は豚肉を追加して豚の水炊きにします。
具材を変えたり、野菜などを単品で追加したりできるのも、この店の楽しみ。
合理的なシステムなので、お値段もリーズナブル。
鶏肉と異なる味わい。
もちろん出汁がどんどん複雑に深みを増すので、最後の雑炊の旨味も増すはずです。
かきみそ鍋が食べ頃になりました。
大きな牡蠣がゴロゴロ。
牡蠣好きの私には堪りません。
味噌との相性も抜群。
お代わりを頼もうとしたら、今日の牡蠣はもう売り切れ。
やはり、皆考えることは同じです。
そこで頼んだのは鶏みんち鍋。
これも味噌仕立て。
鶏ミンチは、スプーンで掬って、鍋に投入します。
すき焼のクタクタに煮えた白菜やお麩を浚います。
割り下の味が滲みた、この位が一番旨いのです。
卵の色も味も濃く変化していくのが、たまご好きの私には堪りません。
遅れていたS君も到着。
ようやく座が整ったという所で、再び入口が開いて見知った顔が現れ、一同驚きます。
昨年名古屋から転勤してきた、支社の別部署のMさん。
自分たちの飲み会の予約をしようと思ったら、電話がつながらないので下見を兼ねて一人で直接やって来たと言います。
なんでこんな店を知っているのかと思ったら、私のブログで見つけたそうで、それもまたビックリ。
満席の店ですが、我々のテーブルに椅子を一つ持って来てもらって、7人で乾杯。
ますます盛り上がってきました。
牛肉すき焼も追加発注。
鶏みんち鍋も食べ頃になりました。
ふんわりした鶏ミンチが味噌に合います。
これまた旨い。
人数も増えたので、鶏水炊きを追加発注。
牛肉すき焼第二弾。
お酒はハイボールに切り替えました。
牛肉を食べ終わったすき焼鍋には、私のリクエストで糸こんにゃく、えのき茸、青ねぎ、豆腐を追加。
これを割り下で煮詰めて卵に浸けて食べたらさぞかし旨いでしょう。
お新香を誰かが発注したようです。
皆ガンガン酒を飲み、バクバク鍋を食べています。
遅れてきたS君と、飛び入り参加のMさんはたらちりを頼んでいます。
すき焼の糸こんにゃく。
思った通りの出来栄えに大満足です。
そしてすき焼の〆と言えば、うどんしかありません。
一人前二玉200円。
しっかり煮詰めて、割り下の味が滲みたところで、残った生卵で頂きます。
旨過ぎる。
生卵も完飲です。
一方、鶏と豚の旨味が滲み出た水炊きは雑炊で仕上げ。
もちろん生卵が決め手。
刻みネギと海苔を入れて出来上がり。
幸せ過ぎます。
もう何杯飲んだのか覚えていません。
ラストオーダーだというので、ハイボールを駆け込み発注。
飛び入り参加のハプニングも楽しい、ディープ西成での鍋宴会。
気になるお会計は、単純平均で@3,640円。
散々飲んで食べたので、これでもこの店では高い方。
私たちが最後のお客。
一同大満足で店を後にしました。
この後は、「なべや宴会」では恒例の社会見学会。
東京出張で一足先に店を出たM部長を除く6人で、ディープ西成を歩きます。
大阪育ちの私は、親から行ってはいけないと言われながら、この町の雰囲気が好きで、大学時代よく遊びに来ていました。
大阪のもう一つの顔。
私が子供の頃は頻繁に暴動が起きた西成あいりん地区のど真ん中に、鉄格子に囲まれ要塞のようにそびえる西成警察署。
今日もなべやには警官が食べに来ていました。
ある意味治安がいいお店といえるかもしれません。
萩ノ茶屋を東へ。
お馴染みスーパー玉出を横目に見ながら飛田方面へと進みます。
今池本通商店街。
なんとも国際的な通りです。
ここ5年くらいの、このエリアのトレンドはカラオケ居酒屋の乱立です。
シャッター商店を改装し、ガラス張りの明るいお店に若いホステスを置き、一曲100円で歌わせる店。
調子に乗って歌うと、高くつきそうです。
飛田新地の灯りが見えて来ました。
ここは飛田本通商店街。
この辺り一帯は巨大なアーケードが広がっています。
阪神高速松原線のガードの東側が飛田新地。
飛田新地の向こうには日本一の高層ビル、あべのハルカス。
大阪の光と影。
かつては大きな遊郭だった鯛よし百番。
今は居酒屋として使われています。
ここから先は撮影禁止。
映画のセットのような幻想的な風景に、初めて来たN君やK君、そしてS君は驚いています。
この新地の東側は高い崖になっていて、売られてきた女性たちが逃げられないようになっていて、この崖に顔を埋めて泣いていた、という話もあるそうです。
飛田新地の社会見学を終えて、動物園前に向かいます。
夜だから、というわけではありません。
すっかり寂れてしまった都心のシャッター商店街。
昭和レトロなお店や看板が目を引きます。
動物園前一番街。
かつて南海電車天王寺線だった跡地からもあべのハルカスが見えます。
このアーケードを抜けると地下鉄動物園前駅。
道路を渡れば新世界。
かつては治安の悪かったエリアも、いまでは若者や家族連れで賑わう町に変貌しました。
私は皆と別れて堺筋線で南森町に帰ります。
いつもの止まり木をガラスドア越しに覗くと、お客さんは一人。
静かに飲めそうなので、ちょっと寄って行くことにしました。
カウンターにいたのは、今年初めてお会いするKさん。
スタッフのKさん共々、新年の乾杯。
いつものハイボールとタマゴサンド。
私のリセットタイム。
この時間が持てるのも、あと何回でしょうか。
時間が深くなるにつれて、遅がけのメンツが現れてきました。
会いたかった人、話したかった人、そんな人との出会いが楽しい、私の大切なお店。
楽しくお話しているうちに、時計は0時。
会話は尽きませんが、今日は帰ることにします。
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