そのまま直帰にしました。
10数年勤めたかつての職場があった下町も、ずいぶんと景色が変わった気がします。
懐かしい店が畳んでしまった話などを風の便りで聞くにつけ、時代の変化を感じていました。
そんなノスタルジックな気分で足を向けたのは、季節料理魚竹。
質の良い和食のランチを出してくれる小料理屋として当時の職場では人気だったお店ですが、私は夜も好き。
大阪転勤以来5年ぶりに、懐かしい暖簾を潜りました。
「いらっしゃい!お久しぶりです」
覚えていてくれることが嬉しい反面、不義理な自分を反省。
まずはビール。
ハートランドが出てきたので、ちょっとビックリ。
ラガーだったような記憶がありますが、この店っぽくない銘柄です。
さすがにまだ18時前。
予約は二組入っているようですが、私が口開けです。
突き出しが出てきました。
ビールをゆっくり飲みながら、手書きの短冊メニューに目をやります。
値段は変わっているのでしょうが、ラインナップは見覚えのあるものばかり。
どんな組み立てにしようかな、と思案する時間が楽しい。
刺身三点盛りからにしてみました。
魚河岸のお膝元で長年の人気店だけに、魚の仕入れは間違いないもの。
一切れ一切れ、味わいながら。
ランチでもよく頼んだ小鉢。
その人気メニューのポテサラと玉子焼きの盛り合わせ。
ここの自家製玉子焼きはほんのり甘く、しっかりと固い東京のもの。
大阪時代によく食べた出し巻きとは全く異なる料理ですが、これもまた旨い。
予約のお客さんが現れました。
夜は初めてだという女性が幹事の新年会。
20年以上前によく通った当時は見かけない若い客。
酎ハイを頼む若者たちに、いささか困惑しつつもにこやかに接客するオーナーご兄弟。
「うちは炭酸は置いてないんです。申し訳ありません」
酎ハイが無いことを残念がる無邪気な若者グループを横目に、私は浦霞を冷やで。
こういうスタイルで営業を続けていくことはなかなか難しいのかもしれないな、と考えながらコップ酒に口を近づけます。
カウンターの中のオーナー兄弟もすっかり年を取りました。
ガタイが良かった身体は、痩せて小さくなったように見えます。
イケメンの顔にも皺が目立つようになりました。
私よりも5つ6つ上なのでしょうか。
初めてこの店に来たのは、もう30年前。
当時の私はまだ20代後半。
カウンターの中のお二人は私の写し絵でもあるのでしょう。
もっとも、私は彼らのように、しっかりとした年輪が刻めていたかは別ですが。
お会計を済ませ店を出ると、まだ19時前だというのに人影は疎ら。
20年という歳月の流れを実感する築地の夜でした。
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