当時からB級グルメや下町居酒屋が好きだった私は、バブル全盛期にも関わらず銀座や六本木ではなく、城東の路地裏やガード下の探検に勤しんでいました。
4年間の大阪転勤でブランクがあり、およそ6年ぶりの帰任の挨拶に訪れました。
中華珍萬。
店構えも、看板も変わっていないのが嬉しい。
ちょうど晩ご飯どき。
赤いデコラのカウンターもテーブルも、サラリーマンでほぼ満席です。
全てが懐かしい光景。
何度も一人で食べに来た若い頃の自分が蘇ります。
生ビールを頼みます。
味つけ玉子もマストアイテム。
今時固茹でという潔さが、なんともレトロです。
注文は決まっていますが、メニューを眺めます。
値段はきっと上がっているのでしょうが、記憶は定かではありません。
ここに来たら食べるものは2つ。
一つは焼きそばです。
醤油と中華だしをベースに味覇で整えたと思われる独特の味は素晴らしいB級感。
この極太麺が特徴です。
延びたような頼りない食感に
「ああ、これこれ」
と嬉しくなります。
もう一つは手のし餃子。
ちょっと焦げているのはご愛嬌。
麺は時々もやし麺やタンメンを頼むことがありますが、この組み合わせがベストです。
もちもちした皮とジューシーな餡は、安心安定のオーソドックスな味。
伝票を持ってお会計。
レジには旧式の小銭カウンター。
今時骨董品です。
かつて、厭世感を漂わせながらノロノロと大鍋を振って焼きそばを作っていた名物親父はいなくなっていました。
厨房の従業員は若干入れ替わったようですが、いつ来ても年配ばかり。
なぜか年を取らないホール係のお兄ちゃんだけが、私の記憶と一致しました。
夜総合点★★★☆☆ 3.5
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