晩ご飯を食べて帰ろうと向かったのは道玄坂の百軒店(ひゃっけんだな)。
駅前の再開発が著しい渋谷は、すっかり様変わりしていますが、百軒店の猥雑な雰囲気は変わりがないようです。
この坂を100メートル弱上ったところにある老舗の中華料理店へ。
昭和20年代創業の喜楽。
東京の昭和ラーメンの歴史を語る時に、欠かせない店の一つ。
入口のメニュー看板も変わりがありませんが、値段は上がっていました。
入口にこじんまりと座っていた優しい表情のおばあちゃんはいませんでした。
代わりに入口にいたのは、厨房にいたご主人。
そしてカウンターの中には日本語を話す外国人店員。
時の流れを感じます。
注文はワンタン麺に玉子をトッピング。
そういえば、昔は餃子をツマミにビールを飲んでからラーメンを食べた記憶があります。
厨房の中のスタッフに違和感を感じながらも、懐かしいカウンターに腰をかけ、待つことしばし。
玉子入りワンタン麺が出て来ました。
焦がしネギが浮いたスープ。
たっぷりのもやし。
変わらないビジュアルです。
まずはスープをひと口。
シンプルな醤油ベースのスープに焦がしネギの風味がなんとも言えない素朴な旨味。
玉子はもともと半個がデフォルト。
追加したので1個半になります。
昨今半熟が幅を利かせる中、昔ながらの固茹で。
チャーシューも昔ながらの固いもの。
これも素朴さ、懐かしさを感じます。
「こんなにのっていたかな」
と記憶も曖昧なワンタン。
餡の肉もたっぷりです。
平打ちの玉子麺も喜楽たる所以。
エッジの立ったこの麺は、麺そのものの味もしっかりと感じられ、はっきりした味のスープとも互角の勝負。
同系統のラーメン店が同年代に大井町で開業しています。
東小路にある名店、中華そば永楽。
そちらも私にとっては思い出深いお店です。
もやしも一緒に。
ボリュームが多いのは相変わらず。
このあたりでお腹は一杯です。
昔は飲み干していたスープですが、今日は控え目にしておきました。
もう若くは無いのです。
カウンターのお客さんのは男性が多いものの、世代は様々。
今日は若い女性お一人様がビールを飲みながらラーメンを待っていました。
曜日や時間帯によって客層が変わるのも面白い。
創業以来半世紀以上にわたり愛されてきたお店。
私が初めてこの店を訪れたのは1987年、東京に転勤した年です。
当時20代だった私も今は50代半ば。
この店のラーメンを初めて啜ってから30年経ったことになります。
ラーメンの味は変わっていませんでしたが、渋谷の街も、店も、客も、確実に時が流れていることを実感した一杯でした。
夜総合点★★★☆☆ 3.6
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