新入社員から4年強を過ごした名古屋は思い出深い街です。
今でこそ「名古屋メシ」と呼ばれる全国的に人気のご当地グルメですが、大阪出身の私は初めて口にするものばかり。
とはいえ、当時からB級グルメだった私は、そうした「名古屋メシ」がすぐに気に入りました。
そんな中で、鮮烈に記憶に残っていながら、東京転勤後30年、一度も再訪できなかった店が元祖味噌カツ丼の味処 叶です。
そんな中で、鮮烈に記憶に残っていながら、東京転勤後30年、一度も再訪できなかった店が元祖味噌カツ丼の味処 叶です。
初めて先輩に連れて来てもらった時は、既に味噌カツの洗礼は受けていたものの、とんかつが濃厚な八丁味噌に生卵と一緒に煮込まれて出てくるここの丼には衝撃を受けました。他店は味噌ダレをかけるスタイルなので、名古屋でも個性的なもの。
名古屋の繁華街、栄の交差点のすぐ近く、戦後のままの昭和が残る細い路地裏に、当時の佇まいのまま、お店が残っていました。
昭和レトロな飴色の内装は昔のまま。
私が初めてこの店に来た30数年前も既にこうでした。
しかし、それ以外は大きく変わりました。
インバウンド観光客もいる店内は、当然ながら先代から代替わり。
先代も、その奥さんの姿も当然無く、男性が厨房をひとりで仕切っています。
そして中国人女性店員が4人。
かつては娘さんが一人でカウンターとホールを仕切っていましたが、いつの間にか二階も客席になっているらしく、狭い階段を上がり下りしての上げ下げに人手がかかるのでしょう。
メニューも少し変わっていました。
もちろんお値段も。
それは仕方ないでしょう。
もっとも、私も正確に覚えているわけではありません。
今みたいに写真を撮っていたわけではありませんから。
味噌カツ丼は意外と高い料理。
当時も少し高かった記憶があります。
残念なことに大好きだった名物のあさりの味噌汁は止めてしまっていました。
味噌えび丼。
カツライスとエビフライライス。
昔こんなに種類があったかどうかすら覚えていません。
この店では味噌カツ丼しか食べたことがないからです。
そんな事を縷々考える時間があるほど店外で15分、店内で20分待ちました。
昔は並ぶことも待つこともなかったお店ですが、「名古屋メシ」の影響力と、客席倍増によるオペレーションの悪化が原因と思われます。
ようやく出てきた味噌カツ丼は昔と変わらぬビジュアル。
単品で追加した玉子は、別皿で出てきました。
心して食べることにします。
黒に近い茶色の味噌を纏った分厚いとんかつが丼を覆っています。
一つ齧ってみれば、若かりし頃、二日酔いの翌日に食べに来たノスタルジーが蘇ります。
味噌で煮込まれた半熟玉子は絶妙な加減。
味噌と玉子は味噌煮込みうどん同様、最高の組み合わせです。
味噌汁ももちろん八丁味噌の赤だし。
返す返すもあさりの味噌汁が無くなっているのが残念です。
しかも催促しないと出てこない、ということなど無かっただけに、サービスの低下も残念な限り。
中国人店員は皆さん印象は良いのですが、要領の悪いオペレーションには、かなり難点があります。
二個目の玉子もオンして、箸入れして黄身をとろ~り。
カツを絡めて食べれば、これぞ名古屋メシ、と思う味。
名古屋に配属されたばかりの大阪出身の私にとって、八丁味噌はカルチャーショックでしたが、今となっては懐かしい味。
完食しましたが、お腹はいっぱいです。
「あの頃は若かったよなぁ。二日酔いでもペロリと食べたのに」
と思うほど、私は年を取りました。
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