二年前に虎ノ門の職場に移ってからずっと気になっていたお店です。
テント看板とウッディな外観は、昭和レトロ喫茶のようですが、レストランとらのもんという名の通り、洋食屋さん。
毎日店の前を通りますが、この私でさえ、なかなかドアを開けるのに勇気が必要な店構えです。
未だかつて、この店に客が出入りするのを目撃したことはありません。
ところが、後輩が、昔虎ノ門の団体に出向していた時に、気に入って使っていたと先日知りました。
「何がオススメなの?」
と聞くと
「お母さんです」
というナゾナゾのような答。
どうやらお母さんがユニークなようなので、私のB級グルメ魂に火が付きました。
未だかつて、この店に客が出入りするのを目撃したことはありません。
ところが、後輩が、昔虎ノ門の団体に出向していた時に、気に入って使っていたと先日知りました。
「何がオススメなの?」
と聞くと
「お母さんです」
というナゾナゾのような答。
どうやらお母さんがユニークなようなので、私のB級グルメ魂に火が付きました。
今日こそは突入しようと昨日から心に決めて出勤。
仕事はどうなっているんだ、という話ですが。
そわそわしながら11時40分にアーリーチェックイン。
そわそわしながら11時40分にアーリーチェックイン。
ドアには「稼ぎ中」の札。
大阪なら見かけるジョークですが、東京では珍しい。
緊張しながらドアを押し開けて、店内へ。
すると「バターン!!」という大きな音と共に私の後のドアが閉まりました。
バネが猛烈に強いのです。
店内に一組いた先客が一斉に私の顔を見ます。
店内に一組いた先客が一斉に私の顔を見ます。
この店の素人だ、とバレてしまいました。
「失礼しました」
と奇妙な薄ら笑いと共に謝る私。
「失礼しました」
と奇妙な薄ら笑いと共に謝る私。
件のお母さんは、奥から現れて
「こちらの端におかけください」
と入口脇のテーブルに私を案内します。
年の頃は、70代といった感じ。
内装もやはり昭和レトロで、今時ピンク電話もあって、私の好きな雰囲気ですが、とにかくお母さんが気になって仕方ありません。
年の頃は、70代といった感じ。
内装もやはり昭和レトロで、今時ピンク電話もあって、私の好きな雰囲気ですが、とにかくお母さんが気になって仕方ありません。
そのお母さんはお水とおしぼりを持ってくると、おしぼりの袋の端を切り、逆さにして、「ストン」と私の前に落とします。
おそらく私が袋を破く手間を省いてくれているのでしょうが、「ストン」と出されたのは初めてです。
卓上のメニューは片面がサンドイッチ、もう片面が夜のメニューです。
夜のメニューに比して、サンドイッチが割高に感じます。
壁には入口にあったのと同じランチメニューのラインナップ。
こちらは850円均一とリーズナブル。
その下にはかなりの種類、かつかなりの値段の特製カレーが掲げられています。
店内の観察が一通り終わったところで、ランチメニューから手作りメンチカツを注文します。
注文を聞きに来たお母さんは、私が動かした卓上メニューを寸分たがわず元の場所に戻してからメンチカツの注文を奥の厨房に通します。
色んな事が、彼女の中ではルーティン化しているのでしょう。
待つことしばし。
食べ終わった先客がお会計を済ませると
「携帯は持ちましたか?」「マフラーないと寒いですよね」「コートはお店で着てから出てくださいね。そうじゃないと地面に鞄を置くことになりますから」と小まめな注意事項。
ゆったりとした話し方はマダムのそれですが、トークの切り口はなんとも微妙に面白い。
コートもマフラーもない私には、なんと言ってくれるのか、期待に胸が膨らみます。
料理はお母さんではなく、シェフであるご主人が奥の厨房からわざわざ持ってきてくれました。
ドミグラスソースがたっぷりかかった手作りメンチカツは、なかなかのジャンボサイズ。
付け合わせに私の好物のマカロニナポリタンがありました。
卓上にある福神漬けをどっさりとライスにのせて、準備は整いました。
まずはコンソメスープをひと口。
挽きたてのブラックペッパーが効いています。
ハンバーグに箸を入れ、オン・ザ・ライスで。
酸味を感じるドミグラスソースがサクッとした衣に染みています。
メンチは柔らかくジューシーで、なかなか旨い。
ご飯は大盛無料ですが、デフォルトで十分の虎ノ門ルール。
ペロリと平らげて、いよいよ緊張のお会計です。
850円のお会計に、1,050円を出しました。
すると奥さんは100円玉を二枚返しながら
「お釣り、2円だけしかありませんけど」
と真面目な顔で言います。
「ごちそうさま」
と言いながら、私はきっと、また謎の薄ら笑いを浮かべていたことでしょう。
後輩が「オススメはお母さんです」と言った意味がわかりました。
次回は1,000円札を出してみます。
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