割烹ランチが好きな私に、またしても悲報です。
新橋の路地裏にひっそりと佇む「花未月」が3月からしばらく休業するというのです。
その情報を知ったのが昨日。
そしてチャンスは、今日28日しかありません。
だから出社したわけではありませんが、美味しい焼き鮭ランチと気持ちの良い接客を心に刻んでおきたいということが、今日の大きなミッションであることは間違いありません。
大阪転勤、虎ノ門事務所勤務、そしてコロナ禍と、訪れる頻度はすっかり減ってしまいましたが、「和楽」「ととや」と肩を並べる新橋の三大割烹ランチの一つ、というのが私の評価。
ひと足先に「和楽」がランチから撤退、そして「花未月」は休業です。
11時半の開店前に、と前のめりで来ましたが、行列はなし。
既に暖簾がかかっていますので、もうお客さんが入っているようです。
定番の甘塩鮭焼き以外にも、日替わりや限定があり、どれも美味しいのはわかっていますが、今日はやはり鮭でしょう。
引き戸を開けて、中を伺うと、先客は二人。
もっと混んでいるかと拍子抜けです。
アクリル板で仕切られたブースのようなカウンターに座ります。
各席に消毒液もあって、対策は万全なのですが、いかんせん新橋の絶対人口が激減してしまったのですから、さぞかし無念と推察します。
昨日から決めてきた「甘塩鮭焼き」をオーダーします。
お盆にのせて、一鉢ずつ運んでくれます。
アクリル板のせいではなく、コロナ禍前から、カウンター席でもお客さんの前から配膳することはありませんでした。
小鉢はサラダ、お浸しの小鉢、お漬物、冷奴の四種類。
いつも安定のラインナップです。
お客さんが大勢来ると思ってか、見越しで焼き始めていたと思われる鮭が、思いもかけず早く出てきました。
今日の炊き込みご飯はツナと柚子胡椒。
いつもユニークなアイデアに感心します。
味噌汁はわかめ。
お代わりはマストのクオリティです。
今日は鮭が早く出てきたので、料理の全貌をワンショットで撮ることができました。
しばしのお別れに、相応しい写真です。
まずは味噌汁をひと口。
今日は、一つ一つの料理をゆっくりと味わって食べましょう。
遅い時間に来ると、炊き込みご飯が無くなっていて残念な時もありました。
一方で、好みの炊き込みご飯の日だと、とても嬉しかったことを思い出しました。
新橋に本社が移転してからの付き合いですから、かれこれ20年ということになります。
肉厚な切り身の鮭。
ど真ん中に大胆に箸を入れます。
もちろんオン・ザ・ライス。
鮭が大振りなので、ご飯が足りなくなります。
ダイエットでお代わりは禁じ手ですが、今日は特別。
白いご飯をお茶碗に半分頂きました。
もちろん味噌汁も。
まだ、鮭が半分も残っているのです。
割烹らしい品の良い味噌汁をひと口飲んでから、白いご飯に取り掛かります。
白飯のために残しておいたハラミの部分。
鮭そのものの味がダイレクトに伝わってくるのは、甘塩ならでは。
食後にコーヒーかコーヒーゼリーが選べます。
今日は、この店らしいサービスのコーヒーゼリーにしました。
クリームをかけて、頂きます。
コーヒーを出せば、食事の時間は伸びます。
もちろんお客さんを追い立てるようなことは一切ありません。
それでいて、980円という驚きの価格。
お客さんの回転よりも、自分たちの料理を楽しんでほしいという店の想いが伝わる割烹の矜持。
消費税が何度上がっても、とうとう1,000円を超えることはありませんでした。
女将さんの心意気なのでしょう。
お会計の時「いつまでお休みされるのですか?」
と尋ねると「決まってないんですよ。しばらくね」
と返事。
コロナ禍とニューノーマルで、私の好きなお店が、また一つ消えてしまいました。
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