今回の大阪は法事のための二泊三日の弾丸帰省。
新幹線は京都駅を利用するのですが、お天気も生憎で観光も出来ず仕舞い。
しかし、せめて美味しいものを京都で食べようという企画はお天気に関係なく実現できました。
初日の京都和久傳、そして三日目の今日の近又。
いずれも素晴らしい京懐石のランチを頂きました。
更に、その締めくくりとなるのが、妻がどうしても食べたいと言っていた辻留のお弁当です。
JR京都伊勢丹の地下にある老舗・名店弁当コーナー。
もちろん事前に予約しておかないと買うことはできません。
6,000円オーバーのお弁当を息子たちの分も含めて4人分ですから、なかなかのお値段です。
今回、清水寺には行っていませんが、清水の舞台から飛び降りる気分だけは味わいました(笑)
家に帰って、晩ご飯で頂きます。
他にも伊勢丹の地下でゲットした出し巻き玉子やら漬物なども取り揃え、京都の余韻に浸るという趣向です。
箱の大きさの割に、みっしりと重いお弁当。
手拭いには、「懐石辻留」の染め。
箸袋には難解な文字で「羹臛」(こうかく)と書かれています。
箸袋の中に意味が書いてありました。
「羹はあつもの。五味を和した吸物。肉に菜を加えた吸物。臛は肉のあつもの。
総じて野菜のあつものと肉のあつものを意味しておりまして、あつものは羔(小羊)を用いるものが最も美味とされ羔と美を合わせてその意味が表されております。
揮毫は店名文字とも北大路魯山人先生のによるものでございます。」
とあります。
調べてみると、宋の詩人、陸游の詩の一節のようです。
辻留の料理とおもてなしの心を表しているのでしょうか。
包装紙は美しい絵巻になっているので、これを広げてその上で食べるのがよいでしょう。
酒飲みの私には堪らない、京料理の詰め合わせ。
まるで宝石箱のようです。
お料理は旬の食材を使った手の込んだものですから、料理人の説明が聞けないお弁当は、食品表示を見ながら食べるのが必須です。
小鯛木の芽寿司、出汁巻玉子、鱒幽庵焼叩き木の芽、海老そぼろ真蒸、木の芽和え、蕨旨煮、いか雲丹焼、からすみ茶巾絞り、若鮎木の芽煮、小芋旨煮空揚、青竹串刺し、蓬麩旨煮、鯛の子旨煮木の芽、ふき旨煮、湯葉山椒焼、菊菜胡麻浸し、甘酢生姜
とあります。
懐石料理は一見して素材が判別しないこともままあるので、宝探し的な楽しみもあります。
まさに宝石箱からの宝探し。
ご飯は小鯛木の芽寿司。
左下のスペースに三切れですが、私にはこれで十分。
懐石らしい、お料理が主役のお弁当です。
お弁当の良さは自分の好きな料理を好きな順番で食べられること。
お弁当ですから懐石のように「羹臛」とはいきませんが、冷めても美味しいものが選りすぐられています。
こんなに種類の豊富なお弁当は初めてです。
煮物が多いのも特徴的。
焼物や煮物も食材や味付けに変化をつけて、楽しめるように作られています。
焼物は鱒幽庵焼叩き木の芽。
鯛の子旨煮にも木の芽。
やはり旬の食材である筍や木の芽、京都らしい川魚などが多く使われています。
ビールの後はやはり日本酒が欲しくなります。
買い置きが無かったので、息子の獺祭を分けてもらいました。
初めて食べた湯葉山椒焼。
湯葉といえば生湯葉が美味しいのでよくお土産で買って帰りますが、まさかそれをお弁当に入れるわけにはいきません。
火を通さなければならないことを逆手に取った逆転の発想には、脱帽の旨さ。
他のお料理の陰に隠れていた青竹串刺しは、車海老旨煮、青唐辛子、蒟蒻が刺してあります。
お弁当なのに陶器に入っているのは木の芽和え。
筍、百合根、蒟蒻を味噌と木の芽で和えたもの。
食味食感の異なる食材を見事に一体化させたお料理に、酒も進みます。
たまご好きの私が終盤まで温存しておいた大好物の出汁巻玉子に箸をつけます。
実に優しい薄味で、出汁の味さえも控えめです。
これは最高。
ゆっくりと酒を飲みながら小一時間かけて頂きました。
こんなにゆっくりお弁当を食べたのは初めてです。
お酒に合うからゆっくり食べたというだけでなく、相当な量が詰まっていたということもあります。
京都で二回食べた懐石ランチと同じお値段の、とても高価なお弁当ですが、満足度はとても高いもの。
お値段以上のバリューがありました。
そうそう食べられるものではない贅沢品ですが、また買いたいと思う素晴らしいお弁当でした。
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