時刻は1時前。
行きつけの止まり木ワインバーの店主の案内で訪れたのは天五の裏手にあたる飲み屋街の一角にある居酒屋しげみ。
深夜2時まで営業しているので、飲み足りない面々や、飲食店関係者などが夜中に来るそうです。
年季の入った白鶴の染め抜き暖簾をくぐり、店内に入った私は感動しました。
東京時代こよなく愛した下町居酒屋そのもの、まさに吉田類の世界が目の前に広がっていたからです。
L字のカウンターと奥の小上がり。
二階もあるそうで、意外とオオバコです。
ショーケースには小鉢に入ったおかずや魚、肉などのネタが入っています。
感じのいい老夫婦が切り盛り。
まずは冷えたビール。
今さらながら本日初ビール。
若ごぼう。
刺身の盛り合わせ。
ひらめ、かつお、まぐろの三点盛り。
活きのいいネタに満足。
おでんも頂きました。
いい具合に煮詰まってます。
大根、スジ、玉子。
メヌケの味噌漬け。
脂ののった白身が美味。
日本酒に切り替え。
ガラス瓶の白鶴というのがまた実に渋い。
大阪らしい出汁の湯どうふです。
もちろんとろろ昆布がのっています。
ボリューム満点で350円。
こちらはかす汁。
これも大阪では人気の料理です。
深夜2時を回り閉店。
暖簾は内側へ。
素晴らしい老夫婦に色々とお話を伺いました。
元々はサラリーマン、OLだったお二人が今から40年も前に酒屋と立ち飲み(いわゆる角打ち)をやろうと始めたお店だそうです。
ところが当時は酒屋の出店規制が厳しかったことから方針を変更して居酒屋として開業。
料理も全て自己流で始めたとか。
その頃はこの界隈も治安が悪く商売も大変だったそうですが、そんな苦労話もにこやかにお話される素敵なご夫婦。
昭和10年代の前半生まれ。
昭和の夫唱婦随ここにあり、といったところ。
ちなみに「しげみ」という店の名前は、ご主人の実という名とお父様の繁という文字を組み合わせて「しげみ(繁実)」としたとか。
商売がうまくいくように願いを込めたそうです。
焼酎の一升瓶を入れれば、ツマミを頼まないと料金は0円。
信じられないサービスですが、そんなことすら笑いとばしてしまうお二人です。
撮影・掲載許可済み |
ついつい話が楽しくて2時をすっかり回ってしまいました。
心が温まったのは日本酒のせいだけではなかったようです。
日本酒を4合飲んで二人で3,900円。
素晴らしい店と出会いました。
夜総合点★★★☆☆ 3.3
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