その時に話題に上ったのが、東天満の中央軒。
「あの店って、チェーン店の中央軒じゃないんですか?」
と私。
「そうじゃないみたいですよ。味も全然違うし。長崎チャンポン旨いですよ」
とマスター。
「豚天が旨いですよ。すごい量で」
とNさん。
「チェーン店だと思い込んでいたから行かなかったんです。確かに外観が違いますよね。明日早速行ってきます!」
そしてその明日である今日となりました。
大阪天満宮駅から、何軒か昨夜教わった店の場所を確認しつつここまで辿り着いた私は、全身汗だくです。
その汗だくな中年男性がリュックを背負って下町B級中華料理店の外観をデジカメで撮影している様は、通行するサラリーマンやOLから見れば相当異様かもしれません。
改めて見ると、確かにあの中央軒とは明らかに違う雰囲気。
屋号も光が頭に付いています。
しかし長崎チャンポンをウリにしている看板に騙されてしまったのです。
ランチタイムは11時から15時までの長丁場。
テンションが上がってきます。
メニューには出前迅速とあります。
ラインナップも中央軒のファミレス的なものとは異なります。
やはりあの中央軒とは別モノ。
とりあえず餃子とビールの小瓶を頼みました。
後で長崎チャンポンを頼むので大瓶を控えたという次第。
「ビールは餃子と一緒に後でお持ちしましょうか」
と気の利いたことを言ってくれるお母さん。
厨房の大将の奥さんなのでしょう。
「はい、そうしてください」
5分ちょっとで餃子が出てきました。
見事なきつね色。
役者が揃いました。
前座と言うには豪華過ぎるメンバーです。
タレにラー油をたっぷり垂らして頂きます。
カリッとした皮の中からジューシーな餡が。
上出来です。
これぞB級、50点の味。
30点でも無く、70点でも無い、想像通りの50点。
お皿に屋号と電話番号が入っているところが、地域密着型の出前店らしいです。
そして、その電話番号が消えかけているところがまた堪りません。
餃子を食べ終わった所でメインディッシュの長崎チャンポンをオーダーします。
気の利いたウェイターがオーダーを取りに来る、などというわけがないので、自分で頃合いを見計らってオーダーをかけます。
これがB級グルメ道。
仕込んてある野菜や肉、魚介を手際よく中華鍋に入れて炒め、麺もそこに投入。
スープを注いでしばし煮ます。
麺を先に引き上げて、その上からスープと具材をかけていきます。
具材の真ん中を窪ませて、そこへ慣れた手つきで生卵を割り入れます。
見事な長崎チャンポンが出来ました。
もちろん野菜もたっぷり。
たまご好きの私には堪らない生卵トッピング。
厳粛な気持ちで箸を割り入れます。
軽く麺や具材と混ぜ合わせて準備を整えます。
レンゲにも屋号が。
スープは豚骨がさほど強くないあっさり目のもの。
もちろん旨いです。
チャンポン麺を持ち上げて啜ります。
スープとの相性も良し。
たくさんの野菜や肉と一緒に啜るのもチャンポンの醍醐味。
先ほど崩した生卵がチャンポン自体の熱で徐々に凝固してきます。
それを麺と一緒に啜れば、口内は小宇宙。
ちょっと多いかなと思いましたが、美味しかったのであっさり寄り切りました。
お会計の時にお母さんに
「ここは、あのチェーン店の中央軒とは何か関係があるんですか?」
と失礼を承知で伺いました。
「いえ、何も関係はないですよ」
「あ、そうなんですね。チェーン店かと思って今まで来なかったんです。全然味が違いました。美味しかったです。また来ます」
2年半前に転勤してきた時からその存在を知っていた店でした。
しかし大阪で知られた長崎チャンポンのチェーン店と同名だったため、チェーン店なら訪問には及ばずと思っていた自分の不勉強さに腹立たしさを覚えました。
店構えやメニュー構成が違うことは一目見てわかるわけで、ましてや出前をウリにしているならその違いに気がついたはず。
B級グルメを名乗る自分に猛省を促しました。
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中央軒 東天満店 (中華料理 / 大阪天満宮駅、南森町駅、大阪城北詰駅)
夜総合点★★★☆☆ 3.4
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