転勤以来気になっていたのですが、去年初めて訪問。
相当旨い魚を、驚くほど安く食べさせてくれる店だと知りました。
「うちは料理屋だから、料理を食べてくれたらいいんです」
と鹿児島出身のご主人はさっぱりしたもの。
その時にすっぽん鍋コースが4,500円で出来ることを知り、今日はそれを職場の有志で作ったB級グルメ会のメンバーで楽しもうという趣向。
ずいぶん前に予約したので、地元の私は昨夜予約の確認のために店を覗いてくるほどの念の入れようです。
鍋は掘り炬燵の小上がりで。
8人までならOK。
詰めれば10人は座れるかもしれません。
少人数ならカウンター席があります。
すっぽん鍋コースは一人前4,500円。
お酒は持ち込み可。
メンバーから銘酒の数々が提供されました。
ワインは冷蔵庫に入れさせてもらいます。
突出しはつぶ貝の煮物。
そういえば先月北海道で随分食べて、美味しかったことを思い出しました。
宴の準備が整ったところで乾杯です。
ビールだけはお店から調達。
今日はフルメンバーの7名が出席。
K局長の昇格、体調を崩していた同期のM部長の快気祝いも兼ね、O局長、永久幹事の営業のM部長、そして私の同僚のM部長とY部長。
そこへ巨大な舟盛が運ばれてきました。
一同から感嘆の叫びが。
4,500円のすっぽん鍋コースに1,500円プラスでこの豪勢な舟盛です。
これは想像以上。
ネタの活きの良さが伝わる輝き。
とり貝。
つぶ貝。
和歌山の鯛。
これはすごい。
トロはカマの部分。
しめ鯖。
生うには箱のまま。
私はビールから、最近マイブームの日本酒に早速切り替え。
K局長差し入れの大関長寿。
刺身はどれも素材の味がダイレクトに伝わる素晴らしいネタばかり。
しかも一切れの切り身が豪快に分厚くて、これだけでも大満足です。
厨房では大将がスッポンを捌き始めました。
私が慌てて写真を撮りに行くと
「ああ、捌く前に見せてあげたら良かったね」
と謝ります。
「いえいえ、大丈夫です」
それにしても鮮やかな包丁さばき。
元々はふぐ職人だったといいますから、魚関係はオールマイティ。
ここからがすっぽん鍋コース。
まずは生血。
私自身、20年以上前にすっぽんを食べて以来ですから、当時の味など覚えていません。
メンバーの中には生血に抵抗を見せるO局長もいましたが、赤ワインで割ってあるので、一気に飲めば何ともありません。
無事全員生血を飲み、血の結束を固めました。
同期のM部長差し入れの日本盛しぼりたて生原酒。
危険な予感がします。
肝。
実に鮮やかで美しい。
「潰したての新鮮な肝は、全然臭みはないですよ。食べてみてください」
と大将。
大将が部位の解説をしてくれました。
ハツ好きの私は、ピクピク動く心臓が食べたくてたまりません。
細かな名前まで覚えられませんでしたが、とにかく食べられるところは全て出してくれました。
確かに臭みもなく、むしろ牛や鳥よりはるかに淡白です。
とても美味しいと感じました。
予約幹事の特権で、好物の希少なハツの権利を頂きました。
出て来てからすぐに食べなかったので、時間の経過とともに鼓動は弱まってきました。
早く食べないと。
シャンパンは同僚のY部長から。
同じ単身赴任でも、天満に住む私と違って、芦屋に住むハイソな彼らしい差し入れ。
彼は今日、白と赤も持参してきています。
活き肝にはナイスマリアージュでした。
大将が板場で仕込んでいた鍋を運んできました。
再び一同から歓声が沸き起こります。
あのグロテスクな体は切り刻まれてこの鍋に。
「すっぽんって、言うても亀だよねぇ」
とO局長。
かなり生血に抵抗を示していた彼も、ルビコン川を渡ったのか吹っ切れた様子。
「うちは毎週すっぽん鍋食べてるんですよ。近所のいかりスーパーですっぽん鍋セット売ってるんですわ。嫁がすっぽんが大好きで、家族みんなで食べるんです」
と営業のM部長が、聞いてもいないのになぜか猛烈なスッポン推し。
「毎週すっぽん食べるやつなんかおらんやろ。お前が買うから仕入てんのちゃうんかい」
と神戸支社時代から彼の先輩であるK局長が応酬。
このKM師弟コンビの応酬には毎回笑わされます。
確かに亀だと思うから先入観を持つのですが、実に淡白で美味な味。
川魚的な臭みはなく、むしろ魚か鶏に近い味。
そういう意味では、両生類の蛙よりは爬虫類のすっぽんの方が、より鶏肉的な味がする、といえるかもしれません。
実にクリアで旨味のあるスープが抽出され、それが野菜にも滲み込みます。
滋味豊か、医食同源のすっぽんパワー。
営業のM部長の肌がツルツルなのも、毎週のすっぽん鍋の効果なのでしょう。
これまたY部長差し入れの赤ワイン。
合わないわけがありません。
うどんです。
一旦きれいに具をさらってから、豪快に投入。
薬味の葱をのせて。
これは旨い!
更に、良く冷えた白ワイン。
雑炊は、再び板場で大将が仕込んで持って来てくれました。
たまご好きの私には堪らない半熟度。
鳥鍋や魚ちりなどよりも遥かに雑味も無く、なかなか比較説明の難しい旨さ。
もちろん大将の腕の良さに寄るところ大。
この方が大将の山元(やまもと)さん。
鹿児島弁の残る大阪弁で、訥々と、しかし自信を持って自分の料理を語る素晴らしい腕前と仕入ルートを持つ方です。
ごちそうさまでした。
撮影・掲載許可済み |
一同大満足。
お会計はその満足度に比して、極めてお値打ち。
「キャノンデールさんのB級グルメは、ほんとの大阪のB級グルメじゃないですよ。僕がとっておきを紹介します」
と前回私に挑戦状を突き付けた営業のM部長も
「今回はキャノンデールさんの持ちネタに降参しました」
の発言。
「ぎゃふん」と言った人を見たことが無かった私も、こういうことを「ぎゃふんと言うのだな」と内心ほくそ笑みました。
今日は大人しく解散となりました。
私は一人、いつもの止まり木へ。
南森町のバーホワイトラベル。
お腹はいっぱいですが、これは別腹。
いつになく静かな店内。
盛り上がったB級グルメ会を一人思い出しながら、ハイボールを4、5杯飲んだでしょうか。
23時を潮時にスツールから腰を上げました。
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