それならば、久し振りの店に行こうと選んだ場所は浅草橋。
ここは衣料関係を中心にした問屋街。
商売の街です。
天気予報が当たって、猛烈なにわか雨。
気温もぐっと下がりました。
駅のすぐ裏手の路地を入ります。
なつかしい看板が見えました。
昭和の面影をしっかりと残しているむつみ屋。
年季の入った木戸と、間口の広い玄関にかかった暖簾がなんとも渋い味わい。
ホッピーの看板。
妙に興奮してきました。
引き戸を開けると、そこは中年サラリーマンの社交場。
吉田類がフラっと現れてもおかしくない雰囲気です。
胴間声が天井に響き、時折笑い声も聞こえます。
日経平均が2万円を窺う勢いとはいえ、庶民派サラリーマンの懐にはその恩恵が及ぶべくもありません。
それでも楽しそうに飲んでいるご同輩を見ると、私も元気になります。
創業当時の写真でしょうか。
待ち合わせには私が先に到着しました。
もともと19時の待合せでしたが、私の大阪での仕事が長引き、30分遅らせてもらいました。
新幹線の車中からかけた電話でも、快く時間変更を受けてくれたお店。
こんなに満席なのに申し訳ない限りです。
しばらく待っていましたが、ビールくらいは飲んでもいいかな、とグラスに注いだところで待ち合わせの相手が木戸を開けて入ってきました。
「まだ0杯ですよね、それ!0杯でしょう?」
相変わらずのマシンガントーク、Iさんは登場から全開です。
まずは見繕って。
こういう店ではマストアイテムのまぐろぶつ。
空豆の塩茹で。
茹でたてが嬉しい。
この店は揚げ物が旨いのです。
自家製のコロッケとイカフライを頼みました。
昭和居酒屋らしい雰囲気になりました。
イカフライの衣はサクサク。
コロッケの芋の味加減が抜群です。
「最近の食べ物は、全部セブンイレブンが味の標準になってるからいかん。これはきちんと店の味が出てて旨い」
とトークも舌好調。
二杯目はホッピーのつもりでしたが、一ノ蔵の常温を頼むというIさんにつられて私もそれを。
今日の繁盛のせいか、てんてこ舞いの男性店員は、我々のオーダーを失念したのか、なかなか出てきません。
そこでホールを仕切る美人のお姉さんを捕まえて
「すいません、一ノ蔵まだなんですけど」
と声をかけました。
「ごめんなさい、今すぐ!」
いつもはツンデレの彼女も平身低頭です。
我々の隣に座っていた「社長」と呼ばれている紳士の奥さんが
「遅くなったんだからしっかり零しなさいよ」
といい合いの手を入れてくれました。
おかげで私の一ノ蔵はテーブルに零れそうなほどナミナミです。
下町居酒屋らしい楽しい掛け合い。
厚焼玉子。
実に絵になる風景。
名物のさくらさしを頼みました。
冬にはさくら鍋も食べられる店。
美しい色艶。
にんにくをたっぷりのせて。
明るく楽しい昭和下町酒場。
相変わらず引き込まれるIさんのトークに刺激され、私のエンジンも早々に暖まりました。
「そろそろ河岸を変えましょう」
お安いお会計を済ませ、 二軒目も私が大好きな店へと向かうことにしました。
にほんブログ村
B級グルメ ブログランキングへ
0 件のコメント:
コメントを投稿
注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。