2015年4月22日水曜日

梅田からひと駅のミステリーゾーン阪急中津駅ガード下でマシンガントークの先輩とハシゴ酒① オールラウンドな大衆酒場「憩い食堂」でテッパンのアテを肴にハイボールをグビグビ

「なあ、キャノンデール、久し振りにB級行こうや!バッチリプレゼン決めてくれ」
とマシンガントークのE先輩からお誘いがあったのはひと月以上前。
同期のM君を誘ってセッティングしましたが、当のE先輩の出張でリスケとなり、今日、久し振りのB級グルメツアーが決行されることとなりました。

タクシーを拾って阪急中津駅へ向かいます。
既にE先輩は舌好調。
「なあ、なんで中津やねん。お前の持ちネタは天満とちゃうんか?場所だけで気をてらってんのちゃうやろな!?物見遊山やったら承知せえへんで」
彼とはかれこれ30年以上前の名古屋支社勤務時代の先輩後輩の間柄。
ざっくばらんな関係です。
「いえ、中津にすごいいいところがあるんですよ」
「お前、そんなん言うて、ほんまは行ったことあらへんから俺らを使うてテストマーケティングしようっちゅう腹やないやろな!?」
「何を言ってるんですか。バッチリ検証済みですよ」
そんなE先輩も、タクシーがJRの線路沿いの激セマの道をグングン入っていくのを見てテンションが更に上がってきました。
「これはええ。これは!」

ハイソなイメージの阪急電車ですが、梅田からひと駅、ひっそりと咲く隠花植物のような中津駅。


この車はこれ以上駐車場に入らず、尻を隠して頭隠さずという状態。


駅のガード下。
正面にあるのが大衆酒場憩い食堂
右手の階段を上がると中津駅です。
川崎のJR鶴見線国道駅の下にある国道下という焼鳥屋を思い出します。


その手前には居酒屋ファースト。
ここは二軒目を想定しています。


年季の入った暖簾をくぐって店内へ。


オオバコの店。


のべ何万人ものお尻に擦られて磨きのかかった木製の長椅子。
もちろんテレビはタイガース戦。


箸立ても年代物。


そしてこんな店にもタイガースの選手が来ています。


まずは生ビールで乾杯です。


メニューはこんな感じ。
「なあ、キャノンデール、まあまあええやん、ここ。いまんとこオーケーや。結構おさえてるもんな、どて焼とかスルメの天ぷらとか焼きそばとか。オールラウンドプレーヤーやな、ガハハハハハハ」
E先輩は奇妙な英語を連発するのです。


同期のM君は
「俺、誤植見つけたで」
と言います。
「壁の札には焼めし550円て書いたあるけど、メニューには600円て書いたある」
「いやいや、札の下をよく見てよ。『夜メニューは御飯以外総べて50円アップ』って書いてあるよ」
「あ、ほんまや」


さっそく注文します。
いかにもほんわかした店員のおじさんを捕まえてオーダー。
E先輩とM君にチョイスを任せます。

テッパンのメニューからどて焼


 しゅうまいから揚げ


E先輩ご執心のスルメの天ぷら


「スルメの天ぷらはな、熱いうちに食わなあかんねん。冷めてもたら、また固なんねん」
そういいながらバクバクと食べて、グビグビと飲んでいます。
このエネルギーはどこから来るのでしょう。


これは私が頼んだだし巻


山盛りの千切りキャベツにフワフワのだし巻がのっています。
紅生姜は大阪ではマストアイテム。


 「おい、キャノンデール、玉ヒモ煮が来てへんな、玉ヒモ煮が」
そう言われて、私は柱にかかった伝票を覗いてびっくり。
値段しか書いていないうえに、料理が出たかどうかのチェックもありません。
「先輩、こんな風ですよ」
と伝票を見せると
「こらあかんやろ!」
人のよさそうなおじさん店員を捕まえて、再度発注。
「そこにはもうついてるで!最初に頼んだんやから」
しかしメニューを見ると玉ヒモ煮には価格がついていません。
時価なのでしょうか。


E先輩お待ちかねの玉ヒモ煮がようやく出て来ました。
「ここの玉ヒモ煮、旨いな!ええ味や。これはいけるで」


猛烈なペースでハイボールを飲んでいるE先輩を追いかけるように私はチューハイ
プレーンが無いというので、麦を炭酸で割ってもらいました。


「ポテサラ頼みませんか?」
と私。
「おお、ええやん。ええこと言うな、キャノンデール。やっぱ、店の味はポテサラで決まるからな」
これには私もM君も激しく同意。
そして出てきたポテサラは、なかなか手の込んだ盛り付け。
「やるやん、これ。なあ!」
E先輩はゴキゲンです。


「ちくわ天いこうや、ちくわ天!」
「いいですねぇ。僕も大好物なんです」

注文を取りに来たおじさんに店の歴史を聞いてみました。
「私もわからないんですわ。祖父の頃からあったらしいんで」
それはすごい話。
後でネットで調べると、阪急中津駅が高架駅になったのは1926年(大正15年)だそうですから、頷ける話。

お待ちかねのちくわ天が出てきてE先輩のテンションは一段と高くなりました。
「これ、切ったあるやないか!手ぇかかってるな。こんなんするとこないで。これはええわ、これは」


 真半分に切ったり、そのまま揚げる店が多いことは確か。
 一人でも食べやすいし、大人数なら分けやすい。
「この店は偉いわ。ちくわ天、切ったあるんやもんな。なかなかできんで!」
何度も切ってあることを強調しています。
相当気に入ったようです。


M君が
「野菜炒め食べへん?」
と聞いてきます。
体調不良でアルコールの総量を規制中の彼は、野菜を意識したようです。
「いいじゃない!僕も野菜不足だし」

出てきた野菜炒めは想像よりも遥かに多い量。
最初は焼きそばかと思ったくらいの大皿にドカンと山盛りです。


「肉が多いな、これ。なあキャノンデール!」
「ほんとですね。かなり入ってますね、肉。これで500円ってめっちゃ安いですね」


この店の締めは焼めし、と一同決めていました。
そして期待以上の焼めしが出てきました。
もちろん紅生姜てんこ盛りで600円。


私は角ハイボール
既に二杯目です。


「これ、肉多いな」
とE先輩。
「そうですよね。それにソースっぽい味しますよね、長田のソバ飯みたいな」
と私。
「これはええわ。これだけでアテになるわ」
とM君。
齢六十も近い先輩を筆頭に、こんなものをこんなに食べて、挙句の果てにグビグビと酒を飲んで良い訳はありません。


「おい、キャノンデール、行こや、二軒目。間違いないんやろな!」
「先輩、任せて下さいよ。物見遊山じゃないんですから。僕は裏取りしてからプレゼンしてるんですよ」
ガードの向こうには梅田の高層ビル群が見えます。
このギャップこそが、ザ・大阪。


スタートからわずか1時間強。
猛烈にハイテンションなE先輩に押されるようにして、阪急中津駅ガード下巡りは、早くも二軒目へ。

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