M次長とW次長が
「肥後橋に行列の中華屋があるんですよ。絶対キャノンデールさんが気に入るお店です」
と口をそろえて言います。
「焼きそばとか焼きめしに玉子焼きをのせて、何でも天津にしてくれるんです」
場所は田蓑橋を越えて、中之島の関電脇を通り過ぎ、筑前橋を渡った左手にあるそうです。
行列、メガ盛り中華、しかも天津とくれば、、私のB級センサーが反応しないわけがありません。
翌日、いてもたってもいられず、早速訪問すべくお二人に先達を要請。
M次長は都合が合いませんでしたが、W次長はOKだというので、ご一緒願いました。
汗だくになりながら目指す場所に辿り着くと、確かに、いかにも大丈夫か、という構えの店に行列が出来ています。
紅恋灯、と書いてぐれんとと読みます。
今時流行らない暴走族のようなネーミング。
その出自は不明ですが、場末のスナック的でもあります。
入口脇にメニューがあります。
天津と書いてあるのは、天津めんと天津丼の二つだけですが、どの料理も天津化できるというのです。
「さすがに天津めんと天津丼には、天津はのせてくれないのかな」
と普通の人が考えないようなことを考えながら汗だくで待っていると、10分ほどしてお母さんに招じ入れられました。
灼熱の外気ですが、店内は想像以上にエアコンが効いていました。
我々二人はカウンター席へ。
親子と思しき二人の連係プレーで作られ、お母さんによって続々と運ばれる料理の数々は、ことごとくメガ盛り。
丼系は、ラーメン丼に山盛りの飯、その上から具がのっています。
東京時代なら小躍りして喜んだことでしょうが、今の私には明らかに多すぎます。
全品大盛り150円増しと書いてありますが、こんなものを大盛りにしたらフードファイターになってしまいます。
「夜の営業は10名以上の貸切でご予約を承ります。」
とあります。
この店で、10名以上で、この偏ったメニュー群で貸切で飲めるグループがいるのか聞いてみたいものです。
このお店では天津カレーという略称のようです。
一旦オーダーした後
「ご飯は少なくしてね」
とお母さんに頼んだのですが、その願いは厨房の息子には届かず、この有様です。
スープは随分と濃厚な色。
天津のてっぺんは、嬉しい半熟です。
卓上の真っ赤な紅生姜を添えました。
久し振りに気合を求められる対決となるランチ。
一方こちらは、W次長が注文したニラ玉丼のご飯少な目。
それでも、十分巨大です。
早速、取り組みます。
少し山を崩して、内部を確認。
内部のカレー焼きめしは、ルーではなくパウダーでカレー味になっています。
大きな角切りチャーシューがゴロゴロ。
スープも一口。
実はこのスープは、普通にクリアな中華スープ。
プラスチックの器に色が付いてしまっているのです。
たまご好きの私には、豊富なバリエーションの天津が楽しめる夢のような素晴らしいお店。
パクパクと食べ進みます。
しかし、半分ほど食べ進んだところで、暗雲が垂れ込めて来ました。
いくら私がジャンクが好きで、玉子が好きでも、味があまりにも単調なのです。
炭水化物好きですが、こんなにはいりません。
しかも、炭水化物ダイエットをしていたことを、今頃思い出すという体たらく。
この辺りで、カレー焼きめしが疎ましくさえ思えて来ました。
お口直しのスープは底を尽き、変色したプラスチックが露わになりました。
「これはね、汚れてるんじゃないのよ。熱で色が変わるの。瀬戸物にした時もあったんやけど、余計熱くて持てへんから、プラスチックにしたのよ。三ヶ月くらいでダメになっちゃうんやけどね」
と、この器の写真を撮っていた私に、お母さんは懸命に言い訳しますが、私はそんなことを不満にも不信にも思っているわけではありません。
ただ、すごいな、と思っているだけ。
作戦を変更し、完食を断念。
天津のみの完食を目指します。
ここで打ち止め。
完全にKO負け。
隣のW次長も同様です。
なんでも天津のせにしてくれる、というのは私には大変魅力的ですが、ご飯は圧倒的に小盛にしてもらう必要があると痛感しました。
しかし、そんな客はこの店に相応しくないのかもしれません。
99%男性、しかも20代~30代中心の客層です。
それでも、次回はマーボー丼か野菜丼の天津のせを食べたいなと思いました。
容赦無く照りつける太陽を浴びながら、再び汗だくで会社に戻ります。
「もう、俺も若くはないな」
と実感したランチでした。
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紅恋灯 (中華料理 / 肥後橋駅、渡辺橋駅、中之島駅)
昼総合点★★★☆☆ 3.3
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