東西線も、北新地駅も、いつもよりたった30分早いだけで閑散としています。
お目当ては新地の会員制小料理バー玉鬘(たまかづら)の火曜日限定日本の朝ごはん。
このお店を知ったのは、飲み友達のYちゃんからの情報。
「午後会社を休んで、限定ランチに行きましょうよ。美味しい日本酒もいっぱいあるし」
と誘われたのですが、 その日は仕事の都合が付かずに涙を飲みました。
その後行く機会が無いまま時が過ぎましたが、ここのママの楽しい「玉鬘ちゃんのブログ」は継続的に読んでいました。
先月から火曜日限定で朝ご飯を始めたことを知り、何としても食べたいと思い、Yちゃんにお願いしてママに渡りを付けてもらいました。
会員制なので、紹介が無いと入れないからです。
入口から察するに、もともとはラウンジのようなお店だったのでしょう。
ドアを開けると
明るく元気なママさんが
「いらっしゃい!」
と声をかけてきます。
「Yちゃんの紹介で・・・」
「はい、聞いてますよ」
とカウンター席に案内されました。
実は玄関で靴を脱がなければいけないことを知らず、席についてから慌てて靴を脱ぎました。
目の前にはかけ放題のいくらや、副菜の類が色々と置いてあります。
お漬物、大きな梅干し、塩昆布、山形だし、そして各種の瓶詰など数えきれない副菜でテーブルはいっぱいです。
本当にこれがかけ放題なのかと思うと、
「早起きは三文の徳」
という諺は真実だったのだ、と実感します。
目の前のお盆に、ママさんが説明しながら次々と料理を並べていきます。
これは私もお手伝いする共同作業。
たらこ。
ハムとポテトのサラダ。
ホカホカの美味しそうなご飯。
ゴーヤのお浸し。
赤ウインナー。
私の隣のらんらんと呼ばれている可愛いお嬢さんが
「ウインナーは赤ですよね~」
とママに話しかけます。
彼女は「らんらんらんちと甘いもん♡」というブログを書いている女子大生ブロガーでした。
「日本の朝ごはんって検索しても、赤ウインナー出してるお店はウチくらいやもんね」
と自慢げなママ。
その彼女の後ろにあるフライパンには、まだまだ一杯赤ウインナーがのっています。
「私もそう思います。できればタコになってたらもっと嬉しいですね」
と私も会話に割って入りますが、年がバレる話。
ママは元気で明るいので、ご自身のブログで公表している年齢よりも若く見えます。
私はそのママよりも2つ上。
ひろうす。
「お吸い物は熱い方がいい?温めがいい?」
と聞かれます。
温めの方が飲みやすいというお客さんが多いので、確かめるそうです。
まだまだ小鉢は出てきます。
納豆と生卵と味付海苔。
「味付海苔が苦手やったら、焼海苔もありますよ」
と至れり尽くせりの配慮。
もちろん大阪出身の私は味付海苔で問題ありません。
「これで最後やな」
とちりめん山椒を渡されます。
「ちょっと待って。写真撮るんやったら、デザートも出すわ」
ヨーグルトとシャインマスカット。
ようやく出揃いました。
豪華絢爛、旅館のような朝ごはんです。
まずは、何を置いてもいくらから着手します。
いくら丼のようにかけようかと思いましたが、ちょっと控え目に半分だけかけてみました。
この圧倒的なボリュームの朝ごはんを、どう食べ進めばいいのか、まだ手探りです。
使い切れないほどの多くの小鉢や瓶詰の類を組み合わせて、オン・ザ・ライスの創作に勤しみます。
オン・ザ・ライスマニアの私は、テンションが上がりっぱなし。
もしかしたら血圧も上がっているかもしれません。
鮭フレークといくらで鮭の親子丼風に。
のりの佃煮と塩昆布の兄弟風。
そこになめ茸を加えた佃煮縛り。
たらこ。
そんな事をしているうちに、ご飯が枯渇してきました。
禁断のご飯お代わり。
「半分くらい」
とお願いしましたが、3分の2はありそうです。
オン・ザ・ライス創りを継続します。
魚卵スペシャル。
プリン体など恐れていては、食べ歩きは出来ません。
しかしこのあたりから急に胃が苦しくなってきました。
ここで最愛の料理TKGに着手します。
しかし、二杯目のご飯も既に残り少なくなっています。
お代り自由とはいえ、もう無理。
生卵と納豆という大好物を最後に残した作戦が裏目に出ました。
しかし、ここでギブアップするわけにはいきません。
味付海苔も忘れていました。
全く自分のペースが掴めていません。
完全に玉鬘に飲まれています。
もう一度いくらとちりめん山椒。
最後の大物、納豆です。
水を何杯もお代わりしました。
まさに水入りの大相撲でしたが、何とか寄り切りました。
もう、デザートの入るスペースはありませんが、
「出された食べ物は絶対残してはいけない」
という昭和一桁の母の声が聞こえました。
お新香と梅干しだけが手付かずでしたが、これは私専属のものではありませんから、母も許してくれるでしょう。
ママさんに私のブログの名刺をお渡ししました。
「あぁ、やっぱりキャノンデールさんなんやね。前にカレーラーメンの旬彩堂でお見かけしたことがあるんですよ。たぶんそうやろうなぁと思ってたんです」
と、いう話から、ママさんも私も大好きなうだまの話に。
その話を横で聞いていたらんらんちゃんは
「私、キャノンデールさんのブログ、メッチャ読んでます!びっくりしました」
反対隣に座っていた「先生」と呼ばれている男性も
「私も北新地でランチを食べるときはよく参考にしてますよ」
とおっしゃいます。
その先生は、 私に天六の隠れ家バーを教えてくれました。
食を通じて、あっという間に広がる友達の輪。
「お店の情報は掲載してもいいんですか?」
「かまへんよ。でもうちは女だけでやってるんで、一見さんは入れへんから。来はっても断るだけやし」
ということでした。
テレビの取材を断るのも、お客さんが来てくれても結局断るから、それなら取材を受けない方がいいということだそうです。
いつも朝食は卵納豆とヨーグルトと野菜ジュースの私ですが、これから毎週火曜日はここで食べることに決めました。
1,000円で満腹。
ランチはお腹いっぱいで食べられませんでした。
それを考えれば、ここの朝食は大変経済的でもあります。
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玉鬘 (割烹・小料理 / 北新地駅、西梅田駅、梅田駅(阪神))
昼総合点★★★☆☆ 3.5
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