すっかり風景の変わった勝どきへ。
防音壁で覆われた建設中の環状2号線。
この道が、まもなく築地から移転する豊洲の市場へ、そして晴海、有明といった2020年東京オリンピック・パラリンピックのメイン会場へと繋がるのです。
そんな日が、自分が生きているうちに訪れるとは、思いも寄りませんでした。
運河沿いの路地の奥。
かつては築地のオフィスビルの地下にあった小さな店。
かれこれ25年は付き合っています。
こんなところに、と思う場所にひっそりと。
魚河岸処さより。
K先輩は先に来て、既に一杯始めていました。
生ビールで乾杯!
大切なこの店に、帰任のご挨拶はまだ。
やはりこの店が大好きな先輩と一緒に、と思っているうちに今日になりました。
突き出し。
お造りをお任せで。
築地の仲買人だった店主の目利きと仕入れの筋は間違いありません。
メニューは定番と黒板のその日のお勧め。
とはいえ、店主は何も聞かずに勝手に作って出してくるのです。
まぐろの中落ちも上物。
どうぜ呑兵衛の我々は、一本空けてしまうに決まっています。
さざえのつぼ焼き。
ひと手間かけた一品。
もちろん汁が旨いんです。
「銀だら焼いたよ」
と店主が出してくれました。
私の好物を覚えてくれています。
ランチタイムの倍はありそうな大きな切り身。
脂ののった銀だらの味噌漬けは、この店の自慢。
酒が進みます。
「造りだけは息子には任せられねぇからよ」
と傳法な口を利く店主。
そんな頑固親父を横目に、美味しそうな揚げ物を出してくれた息子。
稚鮎と海老とオクラの真丈揚げ。
夏休みに、築地のビルの地下の狭い店でランチタイムにお運びのお手伝いをしていた小学生も、今は40前の立派な板さん。
本当は造りも息子の方が腕がいいのかもしれません。
「俺はこれがあればいいんだよ」
とK先輩が頼んだアジフライ。
「ここのは絶品なんだ」
と、飲んだらあんまり食べない彼も箸が進む品。
やはり築地時代からのお付き合いというご常連が、息子さんを連れて飲みに来ていました。
そういえば、私も大阪転勤中に家族を連れて一度飲みに来たことがあります。
そんな付き合いが出来るのも、気さくな店主ご夫妻と明るい息子さんだからこそ。
そのご常連さんも帰って、残った私達で乾杯。
店を開いた当時、店主は30代。
通い始めた私はまだ20代でした。
同い年とは思えない若くて美人の奥さんと、イケメンの息子。
紆余曲折で苦労はあったそうですが、今はとても幸せそうな店主は、少し丸くなったようです。
私も、そんな昔の記憶が鮮明に思い出される年になりました。
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