当然、流れは決まっています。
そのまま同じ昭和レトロビルの一階にある、やはり昭和レトロ喫茶の「ヘッケルン」へ。
たった今までランチを食べていた二階のある「酒処 はづき」の窓が全開なのが見えます。
これも「Withコロナ」の「ニューノーマル」。
ちょうど12時。
カウンター席に座って、ジャンボプリンセットを注文します。
「Beforeコロナ」と全く変わらない、マスターの驚くほど軽快なフットワークは健在。
ご高齢とはいえ、これだけ元気なら、新型コロナウイルスも寄り付かないでしょう。
お隣のお嬢さんがタマゴサンドを頼んだので、除菌ウェットティッシュが置かれました。
それは今までもあったことですが、それとは別に除菌スプレーがカウンターに置かれているのが「ニューノーマル」。
目の前でサイフォンのコーヒーが淹れられます。
お嬢さんのタマゴサンドを作りつつ、マスターは一分の隙もない身のこなし。
そのお嬢さんが
「タバコ吸ってもいいですか」
とマスターに恐る恐る尋ねます。
初訪問なのでしょうか。
「いいよ、3本までなら。4本目からは罰金一万円だよ」
お嬢さんは目を白黒していますが、それがこの店の数あるルールの一つ。
マスターの軽妙な軽口も健在です。
もちろんプリンを型から外す見事な技も変わりません。
自称「プリン屋」の面目躍如。
前回来たのは、非常事態宣言発出直前の3月19日。
ほぼ3カ月半ぶりのジャンボプリンとのご対面です。
コーヒーもジャストタイミングで出てきます。
淹れ立てのコーヒーをひと口。
コロナの緊張感も、ほぐれるひと時です。
おもむろにジャンボプリンにスプーンを入れます。
秘伝の濃厚なカラメルが、トロリとプリンの断面を流れ落ちるのが美しい。
絶品プリンの味を噛み締めながら、少しずつ食べ進みます。
食べても食べても減らないジャンボプリンは、子供の頃からの夢の実現。
この年にして、この店に巡り合えた幸せに感謝します。
最後に残った濃厚なカラメルも、もちろん残すわけにはいきません。
ラーメンではありませんが、完食完飲です。
「非常事態宣言の時は営業してたんですか?」
と尋ねると
「私に休みという言葉はないの!」
「私に休みという言葉はないの!」