曳舟の大衆酒場「岩金」の下町ハイボールで上機嫌になった私は、二軒目に向かいます。
曳舟川通りを荒川に向かい、更生橋交差点に差し掛かります。
曳舟川が暗渠になる前にかかっていた更生橋は、かつて遊郭「玉ノ井」があったことから、遊びの帰りに渡るときに更生せよとの意味があったとか。
花街の東向島らしいエピソードですが、いずれにしてもここは江戸の朱引きの北東端。
つまり江戸の端っこ、川の向こうは江戸の外という訳です。
そんな事を思い出せる痕跡もない、マンションが立ち並ぶ交差点を南に曲がると、その先は京成線の高架橋。
20年ほど前に高架駅になって、すっかり様変わりした八広駅ですが、それ以前は荒川駅という名前でした。
その駅前にあった酒場が、昔のまま残っています。
なんとも昭和レトロな「日の丸酒場」。
暖簾はいつも逆にかかっています。
開店前かラストオーダーを意味する「逆暖簾」ですが、どちらでも無いのに逆なのは、何か意味があるのでしょうか。
その逆暖簾を潜って店内へ。
L字カウンターと広めの小上がりは、飴色ですが、厨房はしっかりと磨きがかかっています。
先ほどの岩金同様、間違いないと確信できます。
カウンターに座って、ドリンクをオーダー。
もちろん下町ハイボールです。
ここでは「焼酎ハイボール」とメニューにあるのが、それです。
つまみは山かけ、目玉焼きを注文。
三人の店員さんの顔が似ているのは、三兄弟だからだそうです。
独特の謳うような声で注文を復唱する店主の所作が、雰囲気を盛り上げてくれます。
タイプは違いますが、北千住の「大はし」を思い出しました。
山かけは、久しぶりに食べましたが、やはり居酒屋メニューの王道。
目玉焼きは固かったのが残念ですが、それでも醤油をかけて食べれば、黄身の甘みが感じられて最高です。
勢いよく炭酸を注ぎ、後からナカを足すスタイルの下町ハイボールは、強炭酸のキックが効いた絶品ですが、今日はさすがに飲み過ぎました。
そろそろいい時間ですから、お開きにして帰ることにします。
今日も乗り過ごしに要注意です。