毎日の通勤路、西天満の路地にずっと気になる店がありました。
お食事 豆寅、という手書きの看板。
メニューからもお魚をメインにした食堂のようですが、非常に謎の雰囲気です。
雑居ビルの中二階。
残業の時は灯りが消えているので、どうやら20時頃が閉店のようですが、この日は21時にもかかわらず開いていました。
怖いもの見たさ、というと失礼ですが、意を決して入ってみることに。
中1階と書いてありますが、そんな日本語はないはず。
これは中二階。
しかも値段が微妙に高いんです。
素材に自信あり、といった所なのでしょうか。
引き戸を開けると猛烈に狭い店内のL字カウンターに先客が二人。
私とそう年の変わらない男性客と女性客。
一見して常連とわかる雰囲気です。
そのカウンターの向こうの更に狭い空間に女性店主。
彼女の動くスペースもほとんどありません。
ちょっと緊張感が走ったので「前から興味があったんですが、珍しく遅くても開いていたので来ました」と述べると急に和やかな雰囲気に。
お母さんは「いつもは20時半で閉めるんだけど、今日はお客さんがいるもんだから」と常連さんたちに目線をやります。
どうやら常連さんたちの長っ尻のお陰で今日は入店できたようです。
注文のシステムが良くわからずお母さんに尋ねました。
「うちはね、お魚なんですよ。煮たり焼いたり刺身にしたり。好きなお魚を好きなようにね」
「このおたのしみごはんっていうのはどういうの?」
「これはね、ここに書いてあるお魚から三種類をお客さんの好きなようにお料理するのよ」
これは迷うな・・・。
「じゃあ、お母さんに任せるから、いいところを見繕って頼みます」
とりあえずビール。
お酒を飲みながら摘んでいる常連さんの二人は私に興味津々。
大阪人の人懐っこさで猛烈に話しかけてきます。
たちまち丸裸に身上調査されて、私もあっという間に常連の仲間入り。
ビールの突き出し。
お母さんは料理の制作に着手。
「しばらく話しかけないでね!」
改めて店内を見渡すと、おそらく6畳あるかどうか、といった広さ。
椅子は5脚ありますが、もう我々3人以上は入れないでしょう。
厨房は二人入ったら二人共動けない、という狭さ。
その厨房でお母さんは黙々と料理を作ります。
最初に出てきたのはコチの煮付。
プリプリの身がおいしいです。
続いてはサバフグの鍋仕立て。
狭いテーブルは既にこの状態。
フグはポン酢で頂きます。
大阪人の好きなフグですが、こちらにきて食べたのは初めて。
そして三品目はいわし焼き。
とうとうテーブルはこんなことに。
たちまち常連の仲間入りをさせられた私は、店主を交えた3人の会話のペースにいつしか巻き込まれていました。
15年ほどこの商売をしているというお母さん。
気さくでチャーミングな方で、ブログ用に写真撮影を申し込んだのですが断られました。
「写真はあかんけど、美人やて書いといて。お客が来るように」と言われました。
おかん、さすがやな。
この狭さでは回転も悪く、商売はどうなっているのだろうと素朴な疑問を抱きましたが、まあそんなことを気にしてもしょうがない、と思い謝辞を述べて店を出ました。
豆寅 (レストラン(その他) / 東梅田駅、南森町駅、なにわ橋駅)
夜総合点★★★☆☆ 3.0
ちょっと強烈なパワーに当てられた私は、自宅近くの止まり木ホワイトラベルに立ち寄りました。
もちろんいつものギネス生。
セットはいつもサンドイッチなのですが、今日は煮玉子と豚の軟骨煮。
これは好物だな。
常連さんの若い男性と女性、それぞれいつもお一人でいらっしゃるメンバー。
その間に私も入り会話はクロスオーバー。
もう一杯赤ワインを飲みましたが、0時過ぎに突然訪れた睡魔に勝てず店を後にしました。
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