2015年1月9日金曜日

大好きな下町居酒屋の町、葛飾立石を久しぶりにパトロール③ 最愛の店で最愛の餃子とラーメン。禁断の老龍口に手を出して乗り過ごすところまで転勤前と寸分違わぬ夜

呑んべ横丁のおでんやを後にして、今日の〆に向かいます。
以前なら4、5軒は回れた私ですが、ここ数年でずいぶんと弱くなったようです。
特に量が食べられなくなったので、お店をハシゴしても旨いツマミが食べられません。

立石の交番の脇道から裏に入ります。
この一帯はかつて赤線だったと言われいるエリア。
正確な記録は残っていませんが、その事実を記述した文献もあるそうです。
しかし、戦後70年。
もう記録も記憶も風化するには十分な年月が経ちました。


人がすれ違うのもやっとのそんな路地裏に、以前よく顔を出した店があります。
とっちゃんぼうや


なんとも人を食った店名ですが、この店は中が面白い。


どれだけ中が面白いかは、店の外にあるのぞきドアを開ければ想像がつくでしょう。


しかし今日はここで戯れるほどの時間と胃袋の余裕がありません。
一年ぶりの立石パトロールの〆は、もちろんこの地で最愛の店蘭州


21時でしたが、若い男女で満席。
ずいぶんと客層が変わったようです。
一席だけ辛うじて空いていたので、奥さんに勧められてそこへ。
「どうもお久しぶりです」
「まだ大阪なんですか?」
と奥さん。
「そうなんですよ」

まずは紹興酒烏龍茶玉子をもらいます。


懐かしい。


庶民的な中華料理です。
別名恐竜玉子とも言われるこの店の名物。


茹で卵を醤油や塩、八角などで煮たもの。
煮る前に卵の殻にヒビを入れて味を滲みやすくするのですが、それが出来上がったときに面白い模様になります。


たまご好きの私も、普段はなかなか食べられないので、ここに来ると必ず頼みます。


水餃子を頼みます。
今日は焼餃子まで頼むと、〆のラーメンが入りそうにありませんから、これ一本勝負。

皮を作るところから奥さんの手仕事。
旨さの秘訣はここにあります。


今日は一皿しか胃袋の余裕がありません。
シンプルにストレートでも良かったのですが、やはり香菜をのせてもらいました。


もちろん香醋で。


紹興酒はお代わり。
今日は飲み過ぎです。


奥さんの作ったもっちりした皮は、ご主人の絶妙な茹で加減で比類なき水餃子へと昇華。


旨くて涙が出そうです。
1年ぶりのこの味。


中の餡はジューシー。
肉は多めで、脂のバランスも良い。


「老龍口ください」
「だいじょうぶ?ずいぶん飲んでるよ」
心配しくてくれるのは有り難いけれど、最愛の店に1年ぶりに来た私には、私なりの通過儀礼があるのです。
確かに飲み過ぎだとは思いましたが、ここに来てこれを飲まない訳にはいきません。
中国瀋陽の白酒は高粱から作られた蒸留酒も。
寒い地方で飲まれる酒だけあって、高いアルコール度数で身体を中から温める作用があります。
これは42度。
ほのかな薬臭さは、同じく寒い地域で飲まれるウオッカとは異なります。
身体も温まりますが、酔っ払うことは必定。


〆はもちろんラーメン。
季節限定ニンニクの葉ラーメンというのは初めて見ました。
これにしてみましょう。


香菜ものせてもらいました。
ラーメンを食べながらの老龍口というまさかの展開。


これは旨そうです。


にんにくの葉と香菜の区別がつきませんが、身体には良さそうです。


いつしかカウンターのお客さんも引けて、ずいぶんと静かになりました。
「うちはもともとはラーメン屋だったんですよ。それが餃子が人気が出て、いつの間にかみんな餃子を食べるようになって、ラーメンを食べなくなったんです」
「そういえば、ずいぶんと若いお客さんも増えましたね。今日はびっくりしました」
「みんないろいろインターネットとか見るんでしょうね。最近は地元のお客さんも、混んでるからと遠慮して来なくなって」
と奥さんは寂しそう。
私も今までこのお店のことは随分ブログで賞讃してきましたが、それは良いことなのだろうか、と忸怩たる思い。
確かにここのラーメンは麺もスープもハイレベル。
私はこの店に来たら必ずラーメンを食べたいので、今日もその分だけは胃袋を開けておこうとコントロールしてきたのです。


ハードリカーをストレートで飲みながら、旨いスープを啜ります。
〆ているのか仕上げているのかわからなくなってきました。


たっぷりのにんにくの葉と香菜と一緒に。


すっかり満腹。
そして酩酊しました。
お会計は2,460円。
奥さんに
「また来ます。どうもごちそうさま」
と謝辞を述べ、ふらつく足で目と鼻の先の京成立石駅へ。


コインロッカーに預けたキャリーケースを取り出して改札口へ向かいます。


まだ電車はある時間。
ですが、この後見事に乗り過ごし、帰りのタクシーは今日3軒の飲み代と同じ金額となりました。
老龍口を飲むと必ず乗り過ごすというジンクスは、転勤後丸3年経った今でもまだ生きていたのです。




関連ランキング:餃子 | 京成立石駅青砥駅

食べログ グルメブログランキング


にほんブログ村 グルメブログ B級グルメへ
にほんブログ村



B級グルメ ブログランキングへ

大好きな下町居酒屋の町、葛飾立石を久しぶりにパトロール② 戦後にタイムスリップ。ディープな呑んべ横丁の「おでんや」にご挨拶

京成線の踏切を渡って今度は北口へ。


立石にはもつ焼きの店が多くあります。
北口で外せないのは「立石の関所」を自称する江戸っ子
この店は盛りヘアーのママこそ優しいですが、他の女性従業員は皆厳しい仕切り。


赤ちょうちんのは旨い生ホッピーを飲ませてくれるので、私のお気に入り。


ここも立石では定番の鳥房
鶏肉屋ですが、裏がイートインの居酒屋になっています。


名物の鳥の素揚げを始めとした料理が食べられますが、ここの女性従業員たちの仕切りもまた猛烈に厳しいので、初めての人は面食らうことでしょう。


呑んべ横丁はディープな立石の中でも一段とディープな一角。


戦後のバラック長屋に間口2間ほどの飲み屋が軒を連ねています。
小料理、居酒屋、スナックなど呼び名は様々ですが、なんともディープな店は一見では敷居が高い店ばかり。


そんな呑んべ横丁で私が馴染みにしていた店があります。


その名もずばりおでんや


先客は一人。
カウンターの端に陣取り、3年ぶりに再会した店主にご挨拶。
私のことを覚えていてくれました。


三岳のロックを。


おでんの薬味が出てきました。
からし、もろみ、柚子こしょう。


カウンターの上に関西では食べられないチクワブがありました。


そのチクワブ玉子を注文。


この組み合わせはいつ以来でしょうか。


独特の食感が懐かしい。
店主の絶妙の火加減で、煮過ぎずにすっきりと仕上がっています。


玉子も出汁がいい具合に滲みています。
もちろん関東風の濃口。


もう一組お客さんがやって来ました。
私は三岳のロックをもう一杯もらい
「初めまして」
とご挨拶して会話に割り込みます。


都市計画でこの町は大きく変わろうとしています。
京成線は高架となり、駅の南北の商店街の再開発計画も進行。
今歩いた一帯は立退きでバスロータリーになるとか。
マスターに聞いてみると、再開発計画や補償の問題があって、すぐには立退きとはならないようですが、それもここ数年には着工が始まることでしょう。
戦後の下町居酒屋の風情を残すこの町が消えるのは、昭和居酒屋ファンの私としては寂しい限りです。



関連ランキング:おでん | 京成立石駅青砥駅


食べログ グルメブログランキング


にほんブログ村 グルメブログ B級グルメへ
にほんブログ村



B級グルメ ブログランキングへ