4月から新社会人として立石で一人暮らしを始める三男に、立石の歩き方を指南する週末の親子飲みという企画。
もちろん一軒目は関東もつ焼き界の聖地、
宇ち多”から。
長きにわたり表と裏で行列が分かれていましたが、私が大阪に転勤している間に裏口に一本化されました。
行列は6人。これなら然程待たないでしょう。
暖簾の内側で立っていると
「何人?」
と声を掛けられます。
二人と答えると、先客のポジションを動かしてスペースを作ってくれます。
普通なら考えられないことですが、この店は譲り合いの精神。
自分が先客で動かなければいけないときも、気持ちよく動くのが作法。
開いたスペースに案内されます。
「かばんは前に抱えて、人にぶつからないようにするんだよ」
と指南。
案の定
「かばんは前にかかえて」
と二代目から厳しい指示が飛びます。
これも乗り越えなければいけない作法。
狭い椅子に並んで座り、注文。
忙しく歩き回るエリア担当の二代目を捕まえて
「ビール!煮込みと、お新香に生姜のっけてお酢!」
と告げます。
まごまごしていたら、いつまでたっても食べられません。
乾杯。
19時近い入店ですが、煮込みにはまだフワ(肺)もあって、意外。
一人だとちょっと多いお新香ですが、今日は二人なのでいいでしょう。
生姜のっけてお酢、という頼み方も意味不明のようでいて、そのまんま。
符牒を恐れることはないと指南します。
「何がありますか?」
私のように会社帰りの閉店間際に来る場合、今日は何が食べれるのか確認するのが肝要です。
もう売り切れている部位を頼むのはホール係にもお客にも労力の無駄。
メニューが無いこの店では、口頭での確認は重要です。
「
レバ、シロ、ガツ、アブラ。レバボイルもあるよ!」
今日二つ目の驚きは生(ボイル)があったこと。
遅い時間にはレアですが、もちろん注文します。
「お酢かける?」
「お願いします」
伝法な二代目の口調に押され気味ですが、これも下町酒場の良さ。
レバボイル。
昔は「レバ生」といって、生で食べられたのですが、規制で食べられなくなってしまったので、ボイル。
残念な限り。
「この店は梅割りが名物なんだ」
と息子に教えます。
「メニューに宝焼酎って書いてあるだろ。焼酎のストレートなんだけど、それに梅エキスを垂らしてもらうのが梅割りなんだよ。ウイスキーストレートの代用飲料だな」
と蘊蓄。
頼んだ焼き物がようやく出てきました。
たぶん注文が通っていなかったのでしょう。
この店ではままある話。
アブラタレよく焼きと
シロタレよく焼き。
「よく焼き」も符牒ですが、これもそのまんま。
もちろん美味しいのですが、見ただけで涎もの。
やっぱり宇ち多”は最高。
梅割りは零してくれるので、少し飲んだ頃合いで受け皿から移すのだ、とこれも指南。
お会計はお皿の数を数える回転寿司スタイル。
もちろんセンベロ価格です。
表口から退店。
エンジンも暖まったので、次なる店へ向かいます。
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