食後に向かったのは新橋駅前ビル1号館地下の「パーラーキムラヤ」。
昭和の香りが色濃く残る、通称「オヤジビル」ですが、まさにそれを代表する昭和レトロ喫茶の名店です。
入口脇のショーケースに入った食品サンプルも懐かしい。
熱帯魚が泳ぐ水槽の横の席に案内されました。
10年以上ぶりの訪問だったのですが、外観はもちろん店内の様子も全く変わっておらず、タイムスリップ感満載。
唯一違っていたのは、禁煙になっていたこと。
煙草を吸わない私には有難い変化ですが、嘆く御仁も多いことでしょう。
メニューは見るまでもなく、プリンと決めているのですが、一応チェック。
お目当てのプリンは三種類。
他にも昭和系のデザートが充実しています。
ジュース類の充実ぶりがレトロ喫茶らしいドリンク分野。
ランチもあるのですが、総じて高め。
昔はコーヒー付きならこれでも安かったのでしょうが、私の記憶も曖昧です。
私が頼んだのは基本形のプリン。
とはいえ、黄桃のシロップ漬けとホイップクリームが添えらえています。
世界遺産とも言える希少なプレゼンテーションのプリンです。
「箸入れ」ならぬ「スプーン入れ」。
想像以上に固いプリンは、スプーンを「突き刺す」ようなパワーが求められます。
掬い取ったプリンは、スプーンを揺らしてもビクともしません。
令和のふにゃけたスイーツに迎合しない、強い意志を感じます。
なんなら、カラメルも固め。
私が大好きな虎ノ門の喫茶ヘッケルンのプリンとは立ち位置が異なる「昭和プリン」です。
キムラヤのプリンは固いだけではありません。
濃厚な卵の風味と甘みがこのプリンの中に「圧縮」されているのです。
「だからこんなに固いんだ」
と大真面目に考えてしまうほど。
このビルの一階にあるポンヌフのプリンも久しぶりに食べたくなりました。