裏難波でアルコールを補給した我々7人はそのまま南下します。
日本橋(にっぽんばし)の通称「でんでんタウン」(東京で言えば秋葉原)を抜けると、そこは新世界。
通天閣が見えてきます。
私がいつも友人を案内するのは新世界の裏通り。
絶滅危惧種の手書き看板が残る映画館、国際劇場。
大衆演劇の朝日劇場。
東京は浅草からも消えてしまった風景が、ここには辛うじて残っています。
ジャンジャン横丁を抜けると、あびこ筋に出ます。
この通りを渡ると西成区です。
大阪ディープサウスの中でも、最もディープなエリアの一つ、動物園前商店街へと分け入ります。
万博景気で賑わったドヤ街の受け皿であった商店街は、度重なる不景気と高齢化で衰退。
シャッター商店街は、ここ10年で中国人が経営する100円カラオケ店が雨後の筍のように林立しました。
私も西成は7年ぶりですが、中国人カラオケ店は更に増え、いつの間にかセクシーな衣装で昼間から客引きをするようになっています。
その横では、路上でくだを巻く日雇いのおじさんに対応する屈強な西成署の警官たち。
この町は、大阪の暗部の象徴でもあります。
商店街から西に向かい、堺筋を渡ると、そこはあいりん地区。
この危険地帯の治安を守る、要塞のような建物が西成警察署。
警察署を過ぎて、ホームレスに不法占拠されている萩之茶屋南公園、通称「三角公園」のすぐ脇にあるのが、今日の目的地「なべや」。
地域密着の一人鍋のお店です。
こんな場所にあるのに、安くて美味しくて、そして盛り付けが「映える」ので、インスタグラマーやユーチューバーに見つかってしまい、予約が無いと入れないくらいの人気店になってしまいました。
今回は数週間前に相当苦労して予約を入れたのですが、開店の14時は満席で16時の回の予約です。
突然人気が出てしまったお店ですが、佇まいは以前のままで、ホッとしました。
我々のテーブルは入口を入ってすぐのところに用意されていました。
料理はあらかじめある程度予約しておきました。
「16時の回だと売り切れてるものも多いんです」
と言われたからです。
いつの間にそんな店になってしまったのか、SNSの影響力に驚きます。
まずは瓶ビールで乾杯。
事前に頼んでおいたのは
ミックス鍋 2
豚肉追加 1
鶏水炊き 1
鶏肉追加 1
鳥ミンチ鍋味噌 1
鶏ミンチ追加 1
牛肉すき焼 2
季節外れなので、名物のかき味噌鍋が食べられなかったのは残念です。
わたし的には出て来る順番やお代わりのタイミングも熟慮しての予約でしたが、危惧していた通り、全て一気に出て来ました。
火力が強いので、鍋もすぐに煮立ってきます。
つまみを追加オーダー。
スルメキムチ。
ミックス鍋は水炊き。
豚肉の旨味が出ています。
鳥ミンチ鍋は味噌仕立てにしてもらいました。
私は昨日に続き、S君を真似して芋焼酎のソーダ割り。
つまみも追加します。
鯨ベーコンとたこわさび。
追加の鶏肉をミックス鍋に投入。
海鮮、豚肉に鶏肉の旨味も合体させようというプラン。
旧知の仲間たちと昼間から囲む鍋は実に旨い。
ここが「センター・オブ・ザ・西成」とは思えない平和なひと時。
すき焼きは、もうワンラウンド頼むことにします。
すき焼き用に青ねぎと牛肉、生しいたけと豆腐を追加注文。
私がすき焼きが好物なので、さりげなく誘導したのです。
もちろん大好きなのマロニーも頼んでおきました。
最高に旨い。
すっかり満腹。
昼間からいっぱい飲んでいい気分。
お店を出て記念撮影をしようと思ったら、そこへ丁度関西支社の若者たちと鉢合わせ。
18時からの予約で来たようです。
彼らにシャッターを押してもらい、無事今回の関西遠征を終えました。
この後は番外編。
「なべや」を後にして、東に向かいます。
飛田新地に大人の社会見学。
7人のメンバーには女性二人と大学生ひとりがいますが、貴重な経験ですから、すこし歩いて回ることにします。
かつての栄華の片鱗が感じられる鯛よし百番の前でも記念撮影。
写真撮影が可能なのはここまで。
ここから先はスマホもカバンにしまって、自分の目に記憶を焼き付けなければなりません。
飛田新地をぐるりと見学して回り、再び動物園前商店街へ。
迷路のようなアーケードを抜けると、新世界に戻ってきました。
「下町ハシゴ酒の会」の関西遠征は、半日かけて大阪ディープサウスを探訪した今日のツアーで無事終了。
再会を約し、現地解散となりました。
すき焼・鍋物 なべや (すき焼き / 今船駅、今池駅、萩ノ茶屋駅)
夜総合点★★★☆☆ 3.5