2019年11月28日木曜日

三軒茶屋三角地帯の肉酒場をはしご酒② 松坂鶏焼き肉も三冷赤ホッピーも女店主の事前講義が必須の「松阪鶏焼き肉 ラヂオ食堂」


三軒茶屋の二軒目は「松阪鶏焼き肉」というニッチな看板を掲げるお店へ。
「美味しいんですけど、いかに自分のお店がお酒や料理にこだわっているか、毎回解説が入るんですよね」
と、言ってはいけないことを言うかのように眉をひそめ、声を落とすONさん。
「松阪鶏焼き肉ラヂオ食堂」の大きな暖簾と看板。


更に入口脇に店の口上が書かれた看板があり、Oさんのただならぬ表情から、きっと何かあるのだろう、という覚悟のもとに大きな暖簾をくぐります。


狭い店内には6、7人も座れば満席のL字カウンターのみ。
このエリアらしい年季の入った内装ながら、磨きのかかった厨房を見て安心。
こういうお店は間違いありません。


案の定、女店主は我々に
「初めてですか?」
という言葉を皮切りに、畳み掛けるマシンガントーク。
初めてではないOさんにもしっかりと説明しているところを見ると、とにかく自分のビジネスに圧倒的な自信を持っているのでしょう。
もちろんそれはとても良いことですが。
私はもちろんホッピー
ここは赤ホッピーがデフォルト。


三冷を忠実に守って、キンキンに冷えたジョッキに、やはり冷えたキンミヤと赤ホッピー。
「赤ホッピー置いている店も、三冷やってる店も、まず無いですよ」
と自信満々に言われると、どちらもよく知っている私は、なんと答えてよいかわかりません。
「どうしてこうやって上から一気に注いで泡を立てるかわかりますか?」
と更に畳み掛ける謎々のような問いかけ。
私が
「それは三冷ってそういう作り方だから。氷を入れたら薄くなるし」
と答えると、不正解だと言われます。
「底にキンミヤがあるので、勢いよくホッピーを注いで攪拌するのと、それによって生まれた泡がホッピーの旨味を閉じ込めるからです」
「・・・はあ・・・僕は家でもホッピー飲んでるし、外でもいつもホッピーなんですが。。。まあ、それは知ってますけど。。。」


突き出しで生キャベツが出てきます。
これも一家言あるようですが、そこはスルー。


料理にもこだわりがあるようなので、お任せで頼みます。
最初はとりハラミ


「一羽に一つしかとれない希少部位ですよ」
とまたまた講釈を受けます。
赤味噌がたっぷりかかって出てきます。


「焦げないように何度もひっくり返してよく焼いてください。鶏肉はあたるから、しっかり焼かないといけません。焼けば焼くほど美味しくなります。生はダメですよ。みんな生焼けで食べるからあたるんです」
と私の過去の価値観を根底から覆す指導が入ります。


女店主の指示を忠実に実践するOさんです。
かなり焼いて、これならよかろうという焼き加減になったとりハラミ。


口に含めば確かに旨い。
焼き過ぎて、ちょっと固いけど。
「赤味噌、食べたことないでしょう。松坂鶏は味噌と合うんですよ」
私は新入社員時代を名古屋で過ごし、妻の実家が名古屋の私は八丁味噌をはじめ、中部地方の赤味噌文化には慣れ親しんでいるのですが、それは言わずにおくことにします。


続いてのお任せは親どり若どりとりきもの三種盛り。


これにも赤味噌がたっぷりとかかっています。


まずはとりきもから焼いていきます。
ハツとレバー。
これもしっかり焼くように言われるので、その監視の目をかいくぐってレアで食べるのに苦労します。


「すいません。黒ホッピーもらえますか?」
とメニューを見ながらオーダーすると
「うちは赤しか置いてないんです。それは宣伝で置いてるだけで」
赤しか置かないのは自由なのですが、先ほどの熱弁三冷理論なら、黒も美味しいだろうと思っていた私は拍子抜け。
仕方なく赤ホッピー三冷をお代わりします。


続いて若どり


プリプリとした食感が美味ですが、たっぷりの赤味噌が少しくどくなってきます。
私は大丈夫ですが、たぶん東京の人にはかなり味が濃いでしょう。


最後は親どり
「親どりって、わかります?食べさせる店はないですよ!」
と言うので、私も反撃。
「宮崎とか高松とか、食べますよね」
「そうですね。でも東京ではね。親どりって、どういう鶏かわかります?」
とまたまた謎々。
「雌なんですよ。親というのは、子供を産んて肉が固くなった雌鶏のことなんです」
とにかくいちいち酒も料理も取説が多く、食べた気がしませんが、それでもご常連がいるようで、こういう接客が好きな人もいるのだな、と実感。
「私は食べログ大嫌いなんですよ。店を評価するとか、それを見て店に行くとかおかしいですよ」
と持論を展開。
あらかじめブログに掲載するとお断りして写真を撮っている私は、なかなかオーナーと距離感が取りにくい状況。


そろそろ次の店に行こうと、お会計を頼みます。
「キンミヤって、実は日本酒作ってるんですよ」
っと新たな推し。
「ですよね」
と私が知っていたことはスルーされましたが
「にごり酒の『宮の雪』があと二本だけありますから、よかったらいかがですか」
と勧められます。
圧は強いけれど、親切なのです。


それは私もいいお土産になるので、二つ返事で購入。
「お酒のこと、詳しいですよね」
と水を向けると
「私はお酒は飲まないの。でも酒屋のアドバイザーを入れてるから、料理に合うお酒をセレクトしてるんですよ」


「お酒飲まないんだ。。。」
三冷の下りの、ホッピーに対する自信満々の説明はどこから来るのだろう。。。
三茶、奥深し。
お会計は4,700円。




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