朝のツアーではじっくり見ることが出来なかったウイスキー博物館を再び訪れました。
貯蔵庫を改造した建物は2棟がつながっています。
最初はウイスキー館。
キング・オブ・ブレンダーズがお迎え。
ポットスチルの美しい銅色の輝き。
小さな装飾や様々な機械の隅々まで丁寧に見て回ります。
ウイスキーに魅せられた人々のロマンを綴る展示品の一つ一つが、その歴史を語りかけて来ます。
ウイスキーの製造工程や、種類に関する説明は、今までの自分の浅い知識を補ってくれました。
世界の5大ウイスキーの一つと称されるまでになったジャパニーズウイスキー。
それこそがマッサンの最大の功績であり、日本の誇り。
そして私のような飲兵衛に幸せを与えてくれた偉大な人物なのです。
「マッサン」でおなじみになったピート。
手に持ってみましたが、想像以上に軽いもの。
ウイスキーは時間の経過とともに樽から蒸発し、その量は大きく減っていきます。
樽は天然木でつくられているので、寒暖の差で収縮したり膨張したりします。
樽は呼吸しているので、樽の香味成分がウイスキーに溶け込んだり、樽のタンニン色素で美しい琥珀色が生じたり、余分な雑味が消え、まろやかな味わいが生まれたりします。
さらに樽は外に揮発したウイスキーの分、外気を吸い込むので、貯蔵庫の周囲の環境、例えば余市ならば海と川と山の香りといったものも一緒に取り込み、そのウイスキーの個性が育まれていくのです。
これこそ樽熟成の神秘。
だからこそ年数を経たウイスキーは、その時間の値段と、量の値段が加算されて高くなるというわけです。
15年経過した樽の内部。
この減ったウイスキーはエンジェルシェア(天使の分け前)と呼ばれています。
揮発したウイスキーが天にのぼり、天使たちが飲んでいるという何ともロマンティックな話。
他の蒸留酒と異なる樽熟成という工程こそが、ウイスキーがウイスキーたりえる理由でもあります。
エイジングされた余市ウイスキーが展示されていました。
大変なお値段でしょう。
通路を抜けてもう一つの建物へ。
ニッカ館です。
ここでは正孝とリタにかかわる所蔵品が数多く展示されています。
12月に竹原を訪問した際も興味深い資料がありましたが、ここの所蔵品はその比ではありません。
この余市をウイスキーの理想郷として選び、この地を終生の大地とした彼の生き様は、一介のサラリーマンである私には到底真似のできないこと。
人生を楽しみ、妻リタを愛した彼の大陸的な性格がわかる、様々なエピソード。
すっかりドラマでお馴染みとなった、二人のスコットランドでの出会いやクリスマスのプディング占い。
リタの生家カウン家のリビングが再現されています。
「ニッカウヰスキーの変遷」のコーナーでは、初期のボトルや懐かしい宣伝物などが展示されています。
かつて亡き父が飲んでいた懐かしいボトルたちともご対面。
「政孝とリタの軌跡」のコーナーでは、出会いから生涯にわたって、二人が暮らしの中で使った思い出の品々を展示しています。
ハンティングや釣りなどアウトドアの趣味も多彩だったのが窺えます。
じっくり見学したら1時間以上経っていました。
再び先ほどのウイスキー館にもどります。
ここにウイスキー倶楽部というバーがあります。
伝統的なスコットランドのパブをイメージした落ち着きのある空間。
これも今回の旅の大きな狙い。
しかし原酒は終売になっていました。
まずはシングルモルト余市12年、ウッディ&バニラ。
12年以上熟成した余市蒸留所モルト。重厚なコクと豊かな味わい。
フィニッシュまで続く滑らかな余韻が特徴です。
続いて余市20年。
ニッカ発祥の地、余市蒸留所で伝統的な直火焚きによってじっくりと時間をかけて蒸留し、20年以上熟成されたモルトの中から厳選。
北の風土で育った重厚な個性を持つ逸品です。
帰りの列車の時間が気になりますが、もう一杯。
最後は1990’s余市。
1990年~1999年に仕込まれた余市モルトを厳選してブレンドしたもの。
キーモルトのシェリー樽によるドライフルーツの甘酸っぱい香りと、カカオのような香ばしさ。
ウッディーで豊かな味わいです。
ちょうど列車が入ってくるところでした。
長万部発小樽行の列車が余市駅を発車します。
是非もう一度訪れたい、素晴らしい蒸留所でした。
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ウイスキー倶楽部 (バー / 余市駅)
昼総合点★★★☆☆ 3.5
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