戦後の混乱期に創業した、老舗というには余りにも古い大井町の中華そば 永楽。
闇市の香りが今も色濃く残る大井町東小路飲食店街。
こんな路地に行列が出来ています。
創業は昭和20年代ですから1950年頃。
私がこの店を知ったのは大井町育ちの妻から。
幼稚園の頃にお父さんに連れられて時々食べに来たと言います。
ならば彼女はこの店が出来てから50年来の付き合いということになります。
結婚して東京に住み始め、私も妻からこの店を教わり、以来30年近く通っています。
もちろん何度か改装しているのでしょう。
「昔はカウンターしか無かったし、二階も無かった」
と妻は言います。
今となっては確かめる術はありません。
大阪に転勤してご無沙汰とはいえ、こんなに並ぶ店だっただろうか、と不思議に思います。
11時半開店なのですが、二階は12時から。
行列を見た時に
「入れるな」
と思ったのですが、そうはいきませんでした。
見事に私達の手前で一階は満席となり、それから30分待たされることになりました。
しかも天気予報まで外れてにわか雨が降り始める始末。
ようやく12時を回り、二階に案内されます。
ある意味、一番乗り。
消費税値上げにより、いくつかの料理は50円単位で値上がりしています。
やむを得ないとはいえ。世知辛い世の中です。
窓のからは、この路地の別な景色が見えます。
最近お気に入りの大阪の野田の飲み屋街、地獄谷を思い出しました。
思いの外早くラーメンが出てきました。
ビールと餃子とチャーハンを頼んだのですが、それらの方が後だったのでちょっとペースを掴みかねました。
固めのチャーシュー。
玉子は今時のものとは一線を画す固ゆで。
この茶色は、チャーシューの煮汁で煮ているのかもしれません。
焦がし葱が浮いた黒いスープ。
醤油の味が全面に出たこの味も、昨今の豚骨魚介を使った複雑な味とはあまりにも違いますが、なんだかホッとします。
麺は平打の玉子麺。
するすると喉を通っていく柔らかい麺は、グズグズしているとたちまち伸びてしまいます。
チャーハンも出てきました。
20代の頃は、このチャーハンとラーメンを一人で食べていました。
今はとても無理。
ラーメンはたっぷりのった茹でもやしと一緒に食べ進みます。
シャキシャキしていて、柔らかい平打麺とのコントラストがいい。
餃子がやっと登場しました。
餃子とビール。
外してはいけないラーメン屋の作法です。
色んなものが一気にテーブルに並んで、本命のラーメンがおろそかになりがちです。
柔らかい平打玉子麺が一段と柔らかくなってきました。
チャーハンに付いてきた玉子スープも忘れてはいけません。
まったく手が回らない状況。
自分が注文した料理に振り回される自分が、腹立たしくもあります。
スープも飲み干すのがラーメン屋に対する礼儀、と固く信じて疑わない私にとっては痛恨のスープ残し。
あまりにもいろんなものが、自分のイメージとは異なる順番で一気に出てきたことに対処できませんでした。
B級グルメを気取る自分へ猛省を促したいランチ。
やっぱりここのラーメンは美味しいとは思いましたが、滅多に来れないと思ってあれこれ頼み過ぎたのは失敗でした。
次回は、やはり東京の戦後ラーメン史に名を刻む、同系統の渋谷の喜楽に久し振りに行ってみたいと思いました。
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