特に、尾道を深く愛して止まない大林宣彦監督の「時をかける少女」は私が社会人になった年に公開されたこともあって、その懐かしく美しい町並みを、いつか見てみたいと思っていました。
念願の尾道ラーメンを朱華園で食した私は、まず町全体を眺めてみようと千光寺山ロープウェイに乗って、千光寺公園を訪ねることにしました。
千光寺公園の頂上まで3分間で結ぶロープウェイ。
車窓からは日本遺産に認定された、箱庭のような尾道の街並みを、ガイドの案内で楽しむことができます。
山の中腹にある千光寺を横目に見ながら、ロープウェイは上がっていきます。
巨石群は信仰の対象となっています。
山頂駅に着きました。
展望台に上がってみます。
眼下に、さっき歩いた商店街を中心とした尾道市街と、尾道水道を挟んで対岸の向島が見えます。
川のような幅しかありませんが、瀬戸内海なのです。
12月なので、日はどんどん傾いてきました。
散策の時間はあまり残されていませんが、夕日を見れたのは良かったです。
しまなみ海道が見えます。
その先の半島の先端が、つい数時間前に散策した鞆の浦と鞆港になるはずです。
「やっぱり、もっと以前に来て、自転車で渡るべきだったな」
と後悔しても遅いとはわかっていますが、残念でなりません。
もう、私は東京に帰るのです。
しっかりと、この風景を目に焼き付けました。
私の残りの人生で、もう一度見ることができるでしょうか。
「文学のこみち」と名付けられた坂道を下っていきます。
紅葉を見ることができました。
中腹まで下りて来ました。
千光寺です。
大師堂には縁結びの愛染明王も祀られています。
女性に人気のパワースポット。
玉の岩。
境内には様々な形の巨石群がありますが、中でもこのお寺のシンボルとなっている「玉の岩」は、その昔、岩の頂に光る玉があり、このあたり一帯を照らしていたとの言い伝えがあります。
そのことから尾道水道は別名「玉の浦」とも呼ばれています。
鐘楼がある、ここからの眺めも、実に素晴らしい。
巨石の上にある護摩堂。
俗に赤堂と呼ばれる千光寺本堂。
806(大同元)年、弘法大師の開基とされる真言宗のお寺。
千光寺山の中腹に位置し、境内からの展望は尾道を代表する風景のひとつです。
初詣のスポットとしても知られ、例年多くの参拝客が訪れます。
本尊千手観世音菩薩は、33年に一度開帳の秘仏です。
俗に火伏せの観音とも称されています。
次第に日が暮れて来ました。
先を急ぎます。
鎖山。
平成15年ごろに住職が、「本堂からとは違う一段上からの素晴らしい眺めと奇岩を見てもらいたい」と石鎚山を整備し始めたことがきっかけで、62年振りとなる2005(平成17)年から一般の参拝客にもお参りできるようになりました。
もう17時を回っていたので門は閉鎖されていました。
大仙堂と三十三間堂。
かなり山から下りて来ました。
天寧寺の三重塔。
この塔越しに見る風景は尾道を代表する風景としてたびたび紹介される場所。
もちろん私も記念写真を撮りました。
ふと見ると猫がいました。
この先の猫の細道から来たのでしょうか。
ここから先は猫の細道。
天寧寺三重塔から招き猫美術館からにかけて続く約200mの細い路地。
作家の園山春二先生が生み出した「福石猫」を1998年からこの路地に置きはじめ、この愛称で呼ばれるようになりました。
猫の通り道とも重なっているので、よく猫を見かけることもあるそうです。
また周辺には空き家を再生した隠れ家的なお店や美術館もたくさん点在しているアートスポットです。
山から下りて来ました。
麓にある艮神社(うしとらじんじゃ)は旧市内で最古の神社と言われています。
この境内では、映画「時をかける少女」や「ふたり」のロケが行われました。
境内に生えている大楠は樹齢900年と言われ、幹の周囲は約7m。
天然記念物にも指定されています。
駅で貰った観光案内図を参考に、古寺巡りをしようと思っていましたが、もうすっかり暗くなってしまいました。
車も通れない細い小道を入っていきます。
坂を上がると、天満神社。
更に階段を上がります。
この辺りに住んでいる人は買い物も大変だな、と感じます。
大山寺。
別名「天神坊」と呼ばれ、延久年間(1069〜1074)頃の中興と言い伝えられています。
境内には「日限地蔵」があり受験生からの信仰が篤く、受験シーズンには隣の御袖天満宮と共に多くの受験生が参拝します。
とっぷりと日も暮れました。
西国寺にも足を向けましたが、もう真っ暗なので参拝を諦めました。
狭い海峡を複数の渡船が往来しています。
接岸したと思ったら、すぐに人と車が吐き出され、再び人と車が乗りこむとすぐに出航します。
まるで船とは思えない、迅速さに驚きます。
遠くにライトアップされたしまなみ海道が見えます。
対岸には、5色にライトアップされた造船所のクレーンが見えます。
海峡が狭くても海は深く、しかも瀬戸内海の交通の要所とあって、造船業が発達しました。
尾道駅に戻ってきました。
岡山行の黄色い電車が入ってきました。
再び福山に戻り、名店居酒屋で一杯というプランなのです。
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