先月飲み会で知り合ったみずちゃんから紹介されたお店の一つ。
事前に食べログで調査したところ、食べたいものがたくさん有りすぎてなかなか絞り込めません。
友達を誘って行くにも遠いので
「一人であれこれ食べるなら、その日は絶食して一食入魂しかないな」
と決意。
三連休の初日、絶食の私は夕方の新快速の車中の人となりました。
JR元町駅のガード下という完璧なロケーション。
店の前に立って、ふと思い出しました。
4月に三度目の神戸餃子探訪に来た時に、この店の前を通って、その佇まいから猛烈に気になっていたのです。
しかし、食べログのブックマークに登録し忘れるという私らしくもない失態で、みずちゃんから話を聞いた時に、私の頭の中でその丸玉食堂という店名がつながらなかったのでした。
とはいえ、私の嗅覚が正しかったということで、少し嬉しくなりました。
入口には山積みのビールケース。
その奥は鰻の寝床のように奥まっています。
壁はタイル貼り、床はコンクリの打ちっぱなし。
更に進むと奥にカウンターと厨房が現れました。
奥には女湯の暖簾。
女性トイレ、ということでしょう。
この店は昼休みがないため、何時でも食べに来ることができます。
私はカウンター席の中程に座りました。
カウンターには、私同様一人で昼酒を飲みに来たご同輩が二組。
B級中華とはいえ、綺麗に磨かれたステンレスの厨房とカウンターに期待が高まります。
手入れを怠らない店は間違いない、というのが私の考え。
事前にメニューは調査済み。
胃袋も空っぽなので、落ち着いて組み立て通りに事を運びます。
焦ってはいけません。
紹興酒や日本酒がバットで湯煎されています。
このワイルドさが堪りません。
まずは生ビール。
朝から水以外は口にしていないので、急速に血中アルコール濃度が高まっていくのがわかります。
スタートは腸詰めから。
ピリ辛の腸詰めを自家製の味噌ダレにつけて食べます。
この味噌ダレもピリ辛。
神戸餃子の味噌ダレにも通じるものがあります。
もう一品はロバと呼ばれると豚肉の角煮。
箸で掴むと崩れるほどトロトロ。
これは絶品です。
炒め系を。
モヤシ・ニラ炒め。
エビ、豚肉、ひき肉、キクラゲなども入っています。
想像以下でも、想像以上でもない、想像通りの味を感動しながら噛み締めます。
「何を食べても旨いですよ」
と言ったみずちゃんの言葉が思い出されます。
二杯目はレモン酎ハイにしました。
「プレーン酎ハイは無いんですか?」
と尋ねる私に
「ない」
と答えるホール係のツンデレお姉さん。
しかし、そんな対応も想定内。
私はここでぶた天の注文を繰り出しました。
厨房から天ぷらのいい匂いが漂ってきます。
ご主人と奥さんはとても物腰の柔らかい方。
思った形とは異なるものが出てきました。
一切れ一切れが肉厚のぶた天は、厚切りのバラ肉を使っているようです。
柔らかくてジューシー。
酎ハイが進みます。
ほぼ満腹ですが、ここで止める訳にはいきません。
〆は麺、と決めていたからです。
「そばは沖縄風」という表記が気になります。
焼きそば、焼きビーフン、ローメン(餡かけ卵とじ麺)の三人が私に猛烈なラブコールを送ってきますが、ここは顔出しになっているローメンにしました。
何よりも卵というのが決め手。
ご主人が手際よく捌く中華鍋の音が心地よく響きます。
程なく出てきたローメンは想像通りの美人。
粗く溶かれた卵の半熟加減が絶妙です。
餡と混ざり合ってトロトロ。
麺は平打の細麺。
熱いので小皿に取り分けて冷ましながら。
結構なボリュームで、食べても食べても麺が現れます。
嬉しい悲鳴を通り越して、本当に悲鳴を上げそうです。
何とか完食しましたが、もうお酒も入らない位、胃はパンパンです。
「できればひょうたんで餃子を連食しよう」
と考えていた自分の胃袋への過信を猛省。
もう50歳をとっくに過ぎているのです。
「過ぎたるは猶及ばざるが如し」
という、忘れかけていた座右の銘への思いも新たに、滞在1時間で再び新快速の車中の人となりました。
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