日中の気温は30℃、湿度は98%という、まるでミストサウナにいるような状態でした。
残業で会社を出たのは19時を回っていましたが、まだじっとりとした空気です。
このところ振られることの多い与力町の竹うちに電話をすると、今日は大丈夫だというので、久し振りに暖簾をくぐりました。
カウンターの右端の定位置に私の席がセットされていました。
まずは冷えた生ビールを一杯。
この店は注ぎ方が上手いので、きれいな泡がたっぷり。
私がお店に入ったのは19時半。
今日もテーブル席は満席で、カウンター席も私がラストワンという繁盛ぶり。
黒板の料理もすでにいくつかが品切れになっています。
一品からはもの子。
鱧の子を玉子で綴じた、まさに私好みの料理。
魚卵と鶏卵のコラボです。
とにかく身体を冷したいので、冷奴。
たっぷりの生姜が嬉しい。
ようやく人心地つきました。
お酒はキープしてある赤霧島のロックに。
そろそろ無くなりそうです。
アオゼの味噌漬け。
「アオゼって何ですか」
と奥さんに聞くと、いつものように小さな魚図鑑を持ってきて説明してくれました。
「アオダイのことなんです。背中が青いからアオゼって言うんですよ」
なるほど、アオダイのことだったんだ。
癖のない白身魚ですが、脂がのって美味。
味噌漬けとの相性も抜群です。
ご飯にのせて食べたい感じ。
「この前、会社の方がいらっしゃいましたよ」
と奥さん。
聞けば、営業のM部長。
昨日ホワイトラベルで遭遇した彼が、そういえばそんなことを言っていました。
少し野菜を。
ほうれん草。
じゃこがたっぷり添えられて、三杯酢がかかっているのが竹うち流。
今日は〆にお寿司を頼みました。
細巻きの二種盛りで。
あなきゅう巻とかつお鉄火巻。
そこらの寿司屋よりも遥かに旨いのです。
今日はここ一軒で締めるつもりなので、しじみ汁もお願いしました。
我ながらいい組み立てだった、今日のひとり酒。
満員で賑やかな店内。
「いつもよく繁盛してますよね。最近なかなか入れなくって」
「いえいえ、ガラガラで電話も鳴らない日があるんですよ。そんな日はお電話しますね」
「ええ、是非。呼び出してください」
そんな会話がフランクにできるお店が地元にできるとは、4年前に転勤してきた時には思いもよりませんでした。
そろそろ帰ろうかと思っていると、いつも美尋でお会いするご夫婦がいらっしゃいました。
そういえば、今日は木曜日ですから美尋は休み。
この町の安くて旨いお店を知る人たちのローテーションになっているのです。
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