二週連続で本社の後輩Kさんが出張で来阪。
同僚のM部長を誘ってディープ大阪をご案内しようとお連れしたのは新世界。
すっかり様変わりして観光地化してしまい、私が学生時代の危険な面白さは無くなってしまいました。
それでも裏路地にわずかに残る昔ながらの風景をご紹介しました。
今宵の店は西成あいりん地区のど真ん中にあります。
大阪の暗部を知ってもらおうという趣向。
新世界から通りを渡って動物園前一番街へ。
飛田本通商店街とも言うこの商店街に入ると、途端に街の雰囲気が一変します。
堺筋を渡ってスーパー玉出天下茶屋店から向こうがあいりん地区。
客層が他とは全く異なるスーパーです。
立ち飲み屋、コインランドリー、ドヤが並ぶ大阪の最深部。
正式には萩之茶屋南公園という名称ですがホームレスのテントで占領されています。
迂闊には近寄れない場所。
かつては暴動も頻発した無法地帯。
その三角公園からすぐの所にあるすき焼・鍋物 なべや。
ほぼ満席。
冬とは言え、店内は鍋の熱気で暑いくらい。
まずは乾杯。
卓上には年季の入った旧式のコンロ。
少しつまみながらどの鍋にするか品定め。
鯨ベーコン。
冷奴。
冷やしトマト。
大阪ですからやはりすき焼きはマスト。
650円。
季節のかき鍋がありました。
これも頼みましょう。
すごいプレゼンス。
私は芋焼酎のお湯割りにしました。
いい色に煮詰まって来ました。
生卵。
割り下の味が滲みて旨い!
一方のかき鍋も食べごろです。
味噌がかきの味を引き立てます。
これで900円。
すき焼きはお代わりを頼みました。
牛肉、糸こんにゃく、白菜。
好みの具を追加でトッピングできるリーズナブルなシステム。
更に味が滲みて抜群の旨さ。
すき焼きが大好物の私は幸せな気分。
もう一種類、鶏水炊きを頼みました。
800円。
先に鶏肉を入れて。
いい感じになってきました。
もみじおろしのポン酢で。
すき焼きにはうどん。
これは外せない基本。
飴色になってきました。
スルスルっと入っていきます。
我々の席はいつの間にか相席でぎっしり。
この店に集うディープな人たちの会話は、つい聞き入ってしまいます。
すっかり満腹になりました。
ここからは社会勉強の時間。
日雇い労働者の町の後向かったのは飛田新地。
平成も25年、戦後70年近く経つというのに、大正ロマンの雰囲気。
間口三間ほどの二階建ての長屋作りの「料理屋」と称する置屋が幾筋にもわたって何100メートルも軒を連ね、この一帯に100軒以上あるのではないかと思われます。
申し合わせたように引き戸を開け、怪しげな照明でライトアップされた玄関ホールで艶やかな衣装を纏った妖艶なお姉さんが科を作り、その横でやり手婆さんが呼びこむ様は平成の日本とは思えない幻想的な光景。
女性のKさんはアウェイ感満載ながらもしっかりとこの光景を目に焼き付けたようです。
20代と思われる若者を中心にかなりの人出。
こういう所に景気回復が見て取れるのでしょうか。
これこそディープ大阪、西成区の最深部にして最暗部。
見あげれば高級マンション群と日本一の高さを誇るあべのハルカスが。
このギャップこそが大阪。
帰りは動物園前駅から。
「ここが動物園前というのは実に言い得て妙ですね」
とKさんの感想。
確かにあいりんや飛田は動物の匂いがする町です。
仕上げで南森町のホワイトラベルへ。
お互いの近況や本社の様子など、Kさんを交えて会話が弾みます。
さすがに仕事疲れで眠そうなKさんとM部長を帰し、私は居残って一人飲み。
常連さんは深夜帯に出没するメンバーに入れ替わり、私は店を出るタイミングを逸してしまいました。
常連さんからお手製のバレンタインチョコを頂き、それをツマミにもう一杯。
連日1時過ぎまで飲みましたが、昨日ほどは酔いませんでした。
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