銀座4丁目の路地裏に2017年にオープンした親子丼の専門店。
評判は聞いていましたが、訪れる機会の無いままコロナ禍となってしまい、ようやくの初訪問です。
今日は愛用しているフォーナインズの眼鏡のメンテナンスでレンガ通りの本店を訪れるのに引っかけて、早めのランチで行ってみることにしました。
教文館の裏、ガス灯通りとレンガ通りの間にある、通り過ぎてしまうような細い路地の奥。
銀座には、ところどころにこうした路地が残っています。
開店10分後の訪問。
急な階段を見上げると、幸い待ちはなさそうです。
入口の券売機で食券を購入します。
つい最近価格改定があったようで、今日狙っている特上親子丼は1,360円から1,460円に値上がりしていました。
サラリーマンのささやかな楽しみを直撃する、まさに値上げの秋。
しかし、値上げにひるむことなく、特上親子丼のボタンを押します。
I字カウンター二つに7、8人しか座れない狭い店は、キビキビとした若い店主がワンオペで仕切っています。
アクリル板と各席ごとのアルコールも見慣れた光景です。
特上親子丼は、愛知県春日井市の稲垣種鶏場が育てた希少な純系名古屋コーチンを使用しています。
もちろん鶏肉以外の全ての食材や調味料に拘った逸品です。
混んでいなかったので、5、6分で出てきました。
ネットの写真では見ていましたが、目の前に出された親子丼は実に美しい。
たまご好きの私には、悶絶しそうなビジュアルです。
お椀が味噌汁やすまし汁ではなく、鶏スープというのも憎い演出。
センターの卵黄を温存しつつ、手前から親子丼を救ってひと口。
鶏スープから煮付け、自家製割下で味付けをしたという手間のかかった鶏肉と卵は、明らかに普通の親子丼とは格段に違う美味しさです。
名古屋コーチンも、しっかりとした噛み応えとともに、ジューシーな旨味が口いっぱいに広がります。
ふた口目で卵黄に杓文字を入れて「流出の儀」。
どこの卵かは不明ですが、濃厚な卵の甘みを感じます。
至福の瞬間です。
鶏肉が卵や玉葱の甘みを纏い、鶏スープや割下と渾然一体となって素晴らしい旨さ。
卓上の黒七味と山椒で、薬味も味変しながら食べ進みます。
ゆっくりと味わいたい気持ちと、アツアツで冷めないうちにという相反する感情が心の中で交錯します。
名古屋コーチンは、もも肉はもちろん、むね肉やささみも使っているのか、食味食感の変化も楽しめます。
卓上にしば漬があるのを忘れていました。
外食不足で勘が鈍っています。
慌てて、親子丼にオンします。
1,460円といえば、なか卯の親子丼が三杯食べられるお値段です。
なか卯の親子丼はもちろん大好きですが、ここの親子丼は全く次元の違う食べ物でした。
銀座4丁目の超一等地で、親子丼が食べられて不思議な気分です。
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