大阪に来て驚いたことがあります。
湯どうふと言えば、水を張った土鍋に昆布を入れ、沸騰したら豆腐を入れ、葱や生姜、鰹節などを薬味にポン酢醤油で食べるもの、と思っていました。
大阪生まれ大阪育ちの私。
実家でも湯どうふはこうやって食べていました。
昨年末大阪に30年ぶりに引っ越してきた日に天五の居酒屋天満酒蔵で湯どうふを頼んだ時、予想もしない料理が出て来て驚きました。
そのあまりの美味しさに大阪居酒屋流湯どうふの虜になったのです。
今日はその大阪居酒屋流湯どうふがとりわけ評判の天五の上川南店にやって来ました。
湯どうふの文字が染め抜かれた暖簾が誇らしげ。
早い時間に来たのに既に常連さんと予約客でいっぱい。
カウンターにかろうじて席がありました。
メニューは小料理屋らしい幅広いラインナップ。
どれもこれも美味しそう。
ネタケースでひときわ魅力的に見えた剣先イカとまぐろをお造りで。
上質な赤身。
伊勢カキと今日のお品書きにあったのでどうやって出してくれるのか聞いてみました。
「酢ガキ、焼きガキ、カキフライにできますよ」
とおっしゃるので
「酢ガキで」
とお願いしました。
すだちの酸味と大根のピリッとした辛さとカキの磯の香りの完璧なコラボ。
日本酒を頼みました。
明日は休みだから大丈夫でしょう。
二合銚子を正しく湯煎で。
美味しそうなレバと砂ずりがネタケースにありましたので焼いてもらいました。
野菜炊合せ。
日本酒と合い過ぎ!
湯どうふの前にもう一品。
イカゲソ焼き。
さて、〆はお待ちかねの湯どうふ。
四百萬両という洒落っ気のある短冊。
おでん鍋にたくさんの豆腐。
二代目と思われるご主人は、この鍋の出汁の味を確かめた後雪平に移して熱します。
来ました!
これが大阪居酒屋流湯どうふ。
鰹と昆布の利いた出汁、たっぷりの葱、とろろ昆布、そしてゆず皮。
大阪らしい薄口ながらも深みのある味わい深い出汁。
これが決め手。
とろろ昆布。
美味しすぎる。
完食完飲。
大阪の居酒屋では定番の湯どうふ。
もちろん店により味も異なりますが、それぞれに美味。
しかし当店の湯どうふが出色であることは論を俟ちません。
東京の皆さんが関西に来て「やっぱり京都の湯どうふは違うね」と満足する前に、是非大阪で大阪居酒屋流湯どうふを食べて欲しいと思います。