よく行ったのに、すっかり記憶から抜け落ちているお店というのがあるものです。
築地に会社があった頃、転勤当時使っていた新富町駅から会社に向かう通り道にあった「中村屋」。
店の外に置かれた大型グリルで定食の魚を朝から大量に焼いていて、いつもいい香りがしていました。
先輩に連れられ、二階の席で「お弁当」と呼ばれる定番のランチをつまみに昼ビール。
私は13時過ぎには会社に戻りましたが、先輩はそのままつまみを頼んで更に飲み続けるという、コンプライアンス無縁の時代でした。
そんな中村屋で冬到来の季節を告げる人気の「カキちり鍋ランチ」が始まったとSNSで知り、超久しぶりに訪問してみることにしました。
混んでいるのでは、と11時の開店に合わせて前のめりで来ましたが、先客は一人。
さすがに早すぎました。
店の前には、ウェイティングの人用にメニューが置かれているところを見ると、やはり今でも行列はできるのでしょうか。
二階席に案内されました。
レイアウトは私が若かったあの頃と変わりませんが、内装をやり替えたのか、若干綺麗になっている気がします。
ブラックボードには季節のメニューが書かれています。
もちろん件のカキちり鍋も。
カキちり鍋を頼むとは決まっていても、おそらく20年以上ぶりの訪問ですから、メニューを改めてチェックします。
しかし、考えてみれば当時メニューを見た覚えもありませんから、ラインナップや値段を思い出せるわけもありません。
とにかく「お弁当」とビールだったのです。
そんなノスタルジックな気分に浸っていると、カキちり鍋ランチが運ばれてきました。
旅館のようなミニコンロにのっているのは、旅館の小鍋よりもはるかに大きいサイズのアルミ鍋。
ご飯はデフォルト大盛。
味噌汁は煮詰まり系。
開店からこのクオリティなのが、むしろ好ましい。
1,100円のランチにも関わらず、ポン酢とごまダレの二種が用意されるというこだわりのサービス。
小鉢とお新香という定番も従えての登場です。
ホール係の女性がコンロに着火してくれるところまで旅館風。
次第にカキ鍋が煮立ってきました。
大きなカキがゴロゴロと五つ、六つありそうです。
春菊、白菜、しいたけ、しめじ、えのき、豆腐といったお馴染みの鍋メンバー。
野菜の下に隠れているのはマロニーでしょうか。
やはり、これでこの値段は大したもの。
そろそろ鍋が出来上がる、という頃合いを見計らって味噌汁をひと口。
口開けなのに煮込まれて色が変わっているワカメが昭和食堂らしく、私には嬉しい限り。
最初は野菜と豆腐から。
ポン酢で頂きます。
もちろんオン・ザ・ライスで。
カキにも火が通ったようです。
プルプルの大振りのカキ。
これもオン・ザ・ライスしちゃいます。
食べても減らないこのボリューム。
コスパ最強です。
カキはごまダレでも頂きます。
濃厚なタレが、下町食堂らしく美味しい。
これもオン・ザ・ライス。
終盤に鍋の底から大量に表れたマロニー。
麺食いの私には堪りません。
お行儀が悪いと言われても、ご飯にのせないわけにはいかないのです。
なんと食後にコーヒーのサービス付き。
これには驚きました。
更に驚いたのはPayPayが使えた事。
キャッシュレス化の波は、築地の下町食堂まで。
食後に、築地時代にランチを食べた、近くの懐かしい店を何軒か巡ってみました。
多少景色は変わっていましたが、それでも変わらずに残っているお店もあって、また築地ランチに来てみようと思いました。
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