暑い位の良い天気。
ずっと気になっていたお店でラーメンを食べるのが今日の旅の目的の一つ。
千葉の郊外に住む私の家からでさえバイクで90分。
圏央道が出来たので車では少しは近くなりましたが、公共交通機関の全くない陸の孤島。
千葉県の三大ご当地ラーメンといえば、勝浦タンタンメン、竹岡式ラーメン、そしてアリランラーメン。
今日の目的地は、そのアリランラーメンの聖地にして、日本一行きにくいとも言われるらーめん八平です。
カーナビでも辿りつけないという都市伝説すらあるくらい。
アリランラーメンの謂れは、お店によれば以下のとおり。
その昔、韓国に「アリラン峠」という峠があり、その峠にまつわる物語の歌があったそうです。
そこで、当店の場所も峠であり、
「昔の峠越えというのは非常に困難で元気を出さなければ越えられなかったはず」
そんなときに体力のつくものを・・・というイメージで考案されました。
私はバイクに装着したスマホのgoogleマップで無事辿りつけました。
しかし、入口はわかりにくく、この人材募集の幟がなければ通り過ぎていたかもしれません。
11時開店の30分前に到着しました。
開店してからでは、待ち時間が一段と長くなるとの情報からです。
既にかなりのバイク野郎が集結しています。
出遅れたでしょうか。
なんとも古めかしい農家の納屋のような建物。
かつてオーナー家族はここにお住まいだったのかもしれませんが、奥の新しいログハウスが今の住居かもしれません。
既に20人位は並んでいるようです。
というか、並んでいるようで並んでいない状態。
どうやらこの入口脇の方が先頭のようです。
先頭の方に確認しました。
名前を書く仕組みではないので、不規則に並ぶ椅子にそれなりに詰めて座る必要がありそうです。
私は、私の一つ前と思われる、立って待っているバイク野郎の集団に
「椅子に詰めて座って待つみたいですよ」
と声をかけ、混沌とした空間の秩序回復を図りました。
いくら人気のラーメン店でリピーターもいるとはいえ、こんなに不便な場所にそうそう来れるものではありません。
ほとんどの人は初訪問なのです。
開店を待つ店内。
11時に開店です。
しかし、それまで座っていた順番と全く異なる状態でお客さんが暖簾に吸い込まれていきます。
ある種、早い者勝ち的。
私より三組後に来た若いカップルは、私より二組先に入店しました。
お店側は行列に関しては一切感知せず、よく言えば性善説、悪く言えば放置プレイとしか思えません。
幸い私は無事一回転目に入店出来ました。
これで二回転目の人とは一時間は差がつくはずです。
実に味わいのある店の造り。
それなりの商売っ気があるところもなんだか面白い。
入口で黙々とニンニクを剥くおばあさん。
入口脇の厨房ではお母さんと娘さんと思しき女性二人が切り盛り。
女三代といったところでしょうか。
オーダーが取られます。
緊張の一瞬ですが、予習してあったので上手くいきました。
そのシステムはこんな感じ。
「最初の方~ご注文は?」
最初の方は挙手して
「アリランチャーシュウ大の普通とアリランチャーシュウ中の少し辛め」
「はい!次の方?」
自分は誰の次なのか、そして自分は間違いなく大きな声で手を上げ、オーダーを的確に出来るのか、緊張が高まります。
インチキで割り込みした若いカップルの後に、私の前の7人組のバイク野郎が指名されました。
「何名様ですか?7人ですか!4名様までならお作りできるんですけど、別々にされますか?後の方にお譲りして、次にご一緒にされますか?」
私の緊張が一段と高まりました。
「次にします」
私は心の中でガッツポーズ。
もしかしたら、明らかにいやらしい薄ら笑いを浮かべていたかもしれません。
正確な数を数えていませんが、おそらく20食程度をいっぺんにまとめて作る仕組み。
一般的なラーメン店のように、注文を受けた順番と単位では作らないのです。
「次の方?」
「ハイ!」
と小学校以来の大きな声で挙手し、何度も諳んじた言葉を口にしました。
「アリランチャーシュウ中を辛めで!」
やりました。
かなりリピーターっぽいオーダーが出来ました。
声も裏返っていません。
行列とオーダーの捌きが、この店で美味しくアリランラーメンを食べられるかどうかに関わっています。
自宅から90分、開店前30分。
既にこのアリランラーメンのために私は日曜日の2時間を費やしているのです。
腑抜けのような私はセルフサービスの水を汲みました。
しかしここからが、また大変です。
情報通り、ラーメンが出来上がるまで更に30分。
「順番にお出しします~」
というので、最初のグループから出てくるのかと思ったら大間違い。
「アリランチャーシュウ大の辛めの方~?辛めはお一人です~」
「次はアリランチャーシュウの大、少し辛め。3つです~」
手を上げた人に運ばれるラーメン。
自分の頼んだものを覚えていないとトラブルの元。
しかも、行列の順番とは全く異なる順番でラーメンが出てくるというカオス。
店側の都合により、オーダーを受けた料理を、値段が高く、かつ辛い順番に出しているようです。
私はアリランチャーシュウ中の辛めを頼んだので、比較的早くラーメンにありつきました。
厚切りチャーシューに辣油がたっぷりとかかっています。
一見、勝浦タンタンメンとの差異は無いように見受けます。
まずはスープを一口。
辣油辛い醤油ベースのスープですが、仄かな甘みを感じます。
その理由は、アリランラーメンの特徴である、玉ねぎをベースに豚肉・ニンニク・ニラ・ネギを炒めた具材から出る甘み。
おばあさんが黙々と剥いていたニンニクもしっかりと入っています。
麺をすすります。
なぜか短い太めの縮れ麺。
茹でているうちに切れたのか、元々短いのか。
いや、元々短いはずはないので、やはり茹でているうちに切れたのでしょう。
20人分も一気に茹でれば、そんなこともありそうです。
勝浦タンタンメンは色々食べましたが、アリランラーメンは見た目ほど辛くありません。
卓上の唐辛子を足しました。
これで丁度私好みの辛さになりました。
バイクウェアにスープが飛ばないように慎重に食べ進みます。
惜しげも無く厚切りのチャーシューは食べ応えあり。
一段と辛くなったスープは、仄かな甘みのお陰でグイグイ飲めてしまいます。
スープの底にはまだまだ玉ねぎが。
麺も具も食べ終わりました。
申し訳程度にスープが残っています。
120分もかけてありついたアリランラーメンのスープを残す手はありません。
今度いつ食べられるかわからないのです。
店を出ると駐車場は一杯。
気温は更に高く、行列は一段と長くなっていました。
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らーめん八平 (ラーメン / 長南町その他)
夜総合点★★★☆☆ 3.5
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