この僥倖を活かすには選択肢が多過ぎて、いつも迷ってしまいます。
結局足が向くのは百軒店商店街。
とはいえ、今日は喜楽のラーメンでも、ムルギーのカレーでもなく、違う店を目指します。
妖しげな店が立ち並ぶ百軒店商店街の中ほど、ラーメン屋と風俗案内所の間に人がやっと通れる細い路地があります。
いささか後ろめたい気分になりながら、身体を滑り込ませます。
行き止まりの手前にあるのが、とりかつチキン。
知らなければ絶対に来ない店です。
ここまででも十分迷路ですが、この古い雑居ビルの迷宮を更に分け入ります。
ラビリンスの奥の奥。
そこにこの店があります。
狭い店内はコの字カウンターと小さなテーブル席。
早めのチェックインでしたので、待たずに入れました。
優しいお母さんたちに迎えられ、料理を品定め。
とりかつが店名ですが、揚げ物全般のラインナップ。
二品で650円、3品で800円、4品で1,000円という価格。
ごはんのお替わりや大盛は別料金となっています。
私は、その名もズバリ「人気定食」という人気メニューをチョイス。
なんと650円。
揚げ物が揚がるタイミングでご飯と味噌汁が出てきます。
ご飯は虎ノ門のように大盛ではありませんので、ちょっと安堵。
味噌汁は、ワカメが煮詰まって変色した典型的な食堂タイプ。
これはこれで好き。
そしてメインの揚げ物が、目の前のカウンターに置かれました。
人気定食はとりかつ、コロッケ、ハムカツの三点盛。
なんとも素朴で質素なビジュアルです。
添えられているのは、刻みキャベツと大根のお漬物。
更にカウンターの上にある菜っ葉のお漬物にも食指を伸ばします。
私の隣の男性は3品と昼ビール。
4品頼んでいる若者もいました。
ここが妖しい百軒店とは思えない、昭和レトロの平和な店で、お母さんたちの優しい接客に癒されるランチ。
店を出ると、そこは平成末期の喧騒と猥雑が入り混じった、百軒店でした。
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