Facebookの友人の投稿を見て驚きました。
築地コンワビル地下の飲食店街、通称「コン地下」にあるスタンドカレー「RASA」が3月いっぱいで閉店するというのです。
出社日の今日、お別れを告げに懐かしい築地を訪れました。
新人配属先の名古屋から26歳で東京に転勤してきた当時は、築地に本社があり、以来15年ほどは築地でのサラリーマン生活でした。
懐かしいコンワビルは、外装がリニューアルされていますが、ビル自体は当時のまま。
私の部署は一時期このビルにオフィスを借りていたこともあり、尚の事親しみと懐かしさを感じます。
地下の飲食店街への入口も懐かしい。
今では随分お店も減って、往時の賑わいはありません。
やはり私が足繁く通っていた居酒屋「さより」も、今は勝どきに引っ越しました。
早めに来たので、まだ行列はありませんでした。
時間が止まったように、お店の佇まいはあの当時のまま。
アルコール消毒液だけが令和を感じますが、閉店するとはとても信じられません。
入口脇には、ひっそりと閉店を知らせる貼り紙。
50年以上も営業していたと初めて知り、驚きました。
メニューも不動のラインナップ。
すぐに入店し、カウンターに案内されます。
唯一の辛口であるビーフカリーを頼みます。
昔は生卵があったような気もしますが、私の記憶違いかもしれません。
目の前には懐かしい漬け物たちが、待っていてくれました。
両脇のアクリル板の存在で、今が令和だと知らされます。
すぐにカレーが出てきます。
忙しくて時間の無い時、ランチを食べそびれた時、雨の日など、随分とお世話になりました。
ライスは少な目にしてもらいました。
カレーがポットに別で出てくるのが、当時の私には、洒落た印象だったのを思い出しました。
目の前に並んだ漬物たちをライスの横に整列させます。
かつてのルーティン。
ポットからルーを移して、掛け回します。
準備は整いました。
心していただきます。
昭和な雰囲気のビーフカリーをひと口。
じんわりと辛さが追いかけてきます。
正直言って、「やっぱり、この味だよね」というほどの記憶はありません。
しかし、店のインテリア、流れるようなオペレーション、そして年をとったとはいえ、相変らずチャーミングな目の前のマダムは、私が初めてこの店に出会った35年前と変わっていませんでした。
ここのピクルスは取り放題。
特にキャベツの漬物が好きで、あの頃のようにどっさりお代わりします。
じっくりと味わいたい気持ちはあるものの、さして量の多くないカレーは、みるみる減っていきます。
それは、お別れの時が近づいているということを意味します。
食べ終わったら、もうさようならなのです。
しかし、出来始めた行列のお客さんを考えると、長居は無用。
若く、忙しかったあの頃、かき込むように食べたカレーですが、こんなにゆっくり食べたのは初めてです。
思い出の詰まった大切なお店。
その大切さに気がつくのは、いつも失ってからなのです。
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