昨日森下、菊川を巡ったので、その流れでもう少し江東区の酒場は巡ってみようと思い、亀戸駅に降り立ちました。
目指す一軒目は駅から徒歩10分ほど。
亀戸香取神社のそば。
一杯飲む前に、せっかくなのでお参りしていきましょう。
香取神社は665年(天智天皇4年)に建立された歴史ある神社ですが、武運の神として知られ、それにあやかってスポーツ選手が勝利祈願に訪れることで知られています。
私はスポーツ選手ではありませんが、会社の武運長久を祈願しました。
お店は駅前から延びる広い道沿いにあります。
伊勢元酒場。
「酒場」と入った店名に、期待が高まります。
勢いのある文字が染め抜かれた暖簾。
その暖簾を潜れば、年季の入った飴色の店内。
8人ほどの小さなL字カクンターと、3人も座れば一杯の小上がりだけの店。
この店を訪れるきっかけとなった「酒場放浪記」の吉田類さんと倉本康子さんの色紙がかかっています。
隙間風を感じる古い店には、石油ストーブが似合っています。
加湿のためにストーブにかけられた薬缶も、渋い雰囲気を醸し出しています。
この店は下町ハイボール狙いで来ました。
お品書きには酎ハイボールと書かれています。
奥さんにお願いすると、一升瓶から作り置きの琥珀の液体が注がれました。
店によって使っているエキスが異なりますが、戦後の混乱期にウイスキーハイボールに似せて作られた代用飲料。
東京の下町ではまだ飲むことが出来ますが、絶滅危惧種になるのではと私は心配しています。
お母さんがレモンスライスを浮かせてくれるので、後は自分の好みで炭酸で割ります。
炭酸はドリンクニッポン。
新小岩にある野中食品工業有限会社製の強炭酸水。
そこへ、名物の肉煮込みが出てきました。
さて、ゆっくりと始めましょう。
肉煮込み、とお品書きあるものの、いわゆるもつ煮込み。
戦後の匂いを感じるネーミングです。
厨房はご主人が一人で切り盛り、ホールは奥さんというツーオペ。
注文が立て込んでいたようで、突き出しの冷奴が後から出てくるというご愛敬。
「酒場放浪記」で見て、是非とも食べたいと思っていたニラ玉炒め。
これも、ネーミングと実物にギャップがあります。
どちらかと言えば、ニラ玉子焼き。
玉子焼き器ではなく、フライパンで巻き焼きしているので、仕上がりがラウンドしています。
そんなことも微笑ましい。
かなり厚い玉子焼きを一回で巻いたことがわかります。
下町ハイボールをお替わり。
今度は氷も入れました。
共用のアイスペールからセルフサービスで。
はしご酒のつもりですから、ライトなものを。
なめ茸おろしでジアスターゼを補給します。
もうワンランド。
こうやって注がれるのは、お客とお店のコミュニケーションでもあり、酒場での楽しみです。
ご常連は皆さん顔見知りの様子で、お互いに年始の挨拶を交わしています。
明らかに私だけが一見なのですが、奥さんも、ご常連も優しく接してくれます。
「おばちゃん」と呼ばれる私の母よりも年上かもしれない、おばあちゃんも元気に飲んでいます。
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